日本人は何度も飢饉を乗り越えてきた(1)【小泉武夫・賢者の非常食(18)】

カテゴリー:食情報 投稿日:2018.09.01

 縄文人の栄養摂取術

 それでは次に、飢饉のときや災害のとき、いわゆる非常時を生き延びる救荒食品についてお話をします。

 まず、現代の日本で、山の中に入って文明と隔絶された生活をしたら、どんな食べものが手に入るかを調べました。私たちが調べたのは、長野県の井戸尻(いどじり)遺跡です。ここは約5000年前に縄文人が生活していた場所のひとつであることがわかっています。今も昔のままの広葉樹林が残された山なので、当時の食べものを探してみました。

 すると、昔とほとんど同じ食べものがあることがわかったのです。堅果ではクリ、クルミ、シイの実、ナラの実、トチの実など。根茎類ではカタクリ、ヤマイモ、クズ、ユリの根、 ムカゴなど。雑穀ではアワ、ヒエ、ソバ、ヨクイニン(ハトムギ)、オカボ(陸稲)などで、 これだけあれば、炭水化物は食べ放題です。 タンパク質は、山の中ですからカエル、ヘビ、トカゲ、昆虫(ガ、セミ、チョウ、トンボ)、川の魚、鳥類がいます。鳥は夜になると目が見えず飛べないので、夕方止まっている木を覚えておいて夜中に行けばたやすく捕まえることができます。

 

 今でも日本の山の中にはなんでもある

 私はこれらを調べただけで、実際に食べることはしませんでしたが、現代人でも十分生きていけると感じました。縄文中期の井戸尻遺跡だから住めたのではありません。日本の広葉樹林なら、どの山でも同じことです。日本はほとんど温帯に位置し、落葉広葉樹林文化という素晴らしい自然があるので、特にブナ林などは非常に食べものが豊かです。

 これらのものを食べてくださいとは言いませんが、縄文人かターザンになろうと思ったら、不可能ではないことは知っておいてください。古来の日本人が食べてきたものが日本の山の中には何でもあり、今もそれは食べられるのだという知識を持っていただきたいのです。

小泉武夫

 

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編集部
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