9月1日は「防災の日」です。日本は地震や台風などの災害が絶えない国です。そうした災害に対処する心構えを準備することを啓発するために1960年に「防災の日」が制定されました。
そこで、今日は非常時に役立つ、常食・非常食の小泉先生の知恵をぎっしりと詰め込んだ1冊を紹介します。
まず始めに、今回紹介する『賢者の非常食』は小泉先生(東京農業大学名誉教授・当サイト総合監修)が東日本大震災直後から書き始め、7ヵ月後の10月11日に刊行された、非常時に備えるための本です。
東日本大震災から10年以上が経ちました――。あの日――2011年3月11日14時46分、牡鹿半島(宮城県石巻市)東南東約130kmの三陸沖、深さ約24kmを震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生!瞬く間に大津波が関東から東北の沿岸部を襲い、甚大な被害をもたらしました。首都圏は帰宅困難者が駅頭にあふれ、携帯電話は役に立たなくなり、スーパー、コンビニから商品があっという間に姿を消し、ガソリン、食料などと生活用品(簡易コンロ、ボンベ、毛布、電池、自転車など)が不足。道路の大渋滞、ライフラインも停電、断水など市民生活は身動きのとれない“非常事態”に陥ってしまいました――。
近年を振り返っても阪神・淡路大震災(1995)、新潟県中越地震(2004)など、日本列島は何十年に一度のサイクルで大地震に見舞われています。今も首都圏直下、駿河湾、南海トラフ、小笠原諸島西沖などの大地震が懸念されています。専門家の間では日本列島で暮らす限り、いつ、どこで大地震が起きても何の不思議はないと言われています。
私たちにできることがあります。それが「減災・防災」です。
なかでも水を筆頭に、まず1週間を自力で過ごせる食料の確保が重要になります。ところが食料の「備蓄」も賞味期限などで廃棄せざるを得ないムダが指摘されています(ローリングストック法/2016.3.8配信)が一助になります)。
小泉武夫著『賢者の非常食』(IDP新書)が、多くの答えを用意しています。
「もし、東京、横浜、名古屋、大阪などの大都市を大きな地震や津波が襲ったら、救助の手が届くまでには何日もかかることでしょう。この本には、そんな場合に役立つ常食・非常食の知恵をぎっしり詰めました」(『賢者の非常食』はじめにより)
【主な内容】
「非常時の賢者の生き方」
「先人の知恵に学ぶ『飢饉と救荒食品』」
「日本人は何を食べてきたのか」
「放射能とがんから身を守る発酵食品の力」
「食生活の乱れを直すところから復興は始まる」
「賢者が選ぶ非常食品ベスト20」
「非常時に力が出る究極のレシピ」
ほか
「非常時に役立つ食べものは、日常生活でも元気の源となる食べものです。日頃から正しい食生活を送ることによってのみ、いつでも持ち出せる食べものを常備し、万一に備えることが可能になります。そうした意味で、この本を家庭に一冊置き、食の大切さに気づいたときに読み返してみると良いでしょう」(『賢者の非常食』はじめにより)
命を救う鰹節
本書の「齧(かじ)らなくても嘗(な)めているだけで十分」という「鰹節の神秘的パワー」(P40・P62)は驚きです。女優の沢村貞子さんのエピソードとともに鰹節の底力を思い知らされることでしょう。麩(ふ)もすばらしい非常食だという指摘にも驚かされます(P123)。また「持ち歩く炭水化物に注目!」(P44)も目からウロコ。備蓄食品の定番といえば缶詰ですが、この本に挙げられた一つ一つの話がまさに私たちを賢者にしてくれます。
一家に一冊の“備蓄本”です!