賢者が選ぶ非常食(11-2)ヨーグルト、チーズ【小泉武夫・賢者の非常食(79)】

カテゴリー:食情報 投稿日:2020.04.28

ヨーグルトは日本人の体にあっている!?

 ヨーグルトは日本人の体に適した長所もあります。それは乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)の予防に効果があるという点です。牛乳中に含まれる炭水化物のほとんどが乳糖ですが、体に入った乳糖は本来ならば腸内で乳糖分解酵素によって分解されてから体内に吸収されます。しかし日本人には、腸管内の乳糖分解酵素が微弱だったり、そもそもほとんど持っていない人が多いのです。そのような人が牛乳を飲むと乳糖が腸壁を刺激して下痢(げり)を起こすことが多く、この症状を「乳糖不耐症」といいます。

 一方のヨーグルトは牛乳を発酵させて作ります。その発酵に用いる乳酸菌は強い活性の乳糖分解酵素を含んでいるので、発酵中に乳糖を分解してくれるのです。したがって牛乳を飲むとお腹が痛くなってしまう多くの日本人でも、ヨーグルトなら安心して食べられます。

 

非常食に加えたい理由

 牛乳は非常食には不向きですが、牛乳を発酵させたヨーグルトやチーズは、非常食向きの食品です。ヨーグルトは整腸作用が強く、安定した食生活が望めない非常時に、生きた乳酸菌が何百億、何千億と腸内に送り込まれる効果は無視できません。人が摂取した肉や魚などのタンパク質が体内で分解されると、その一部が腸内の有害細菌の作用を受けて悪性物質を発生させますが、ヨーグルトはそうした悪玉菌が育つのを阻害(そがい)してくれるのです。 日常的に食べれば体にいいことはもちろんですが、厳しい環境に置かれたときこそ乳酸菌を摂取したいものだと思います。

 チーズはタンパク質と脂肪を40~50%も含んだ滋養(じよう)食品です。効率的なカロリー源やエネルギー源となることはもちろんですが、ビフィズス菌などの善玉菌を安定した形で腸内に送り込むことができるため、有害菌の生育を阻止する腸内の態勢が作られます。

 チーズの栄養的特性としては、ビタミンAが牛乳の6~7倍、カルシウム、リンなどの ミネラルも牛乳よりはるかに多く含まれているのです。保存性にも優れているので、ぜひ非常食に加えてください。

小泉武夫

 

 

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