小泉武夫先生の7作目の小説『骨まで愛して 粗屋五郎の築地物語』(新潮社)が大きな評判を呼んでいます。これまで見過ごされてきた魚の粗(あら)にスポットを当て、その美味しさと魅力が小泉先生の筆致で余すことなく伝えられているのです。一読すればみんな粗料理のファンになるのは間違いありません。
今回は、“粗”を絶品料理に作り上げる主人公、粗屋五郎に少しでも近づこうと、格安で手に入った旬の天然ブリの子を使った佃煮を作ります。
ブリの子と昆布の佃煮の作り方
魚をバックヤードでさばいているスーパーでは1匹さばくと、子(卵)や白子、頭や骨などの“粗”がたくさん出ます。“粗”は格安で販売されることが多いので、これは狙い目です。下ごしらえなど少々手間はかかりますが、コツを覚えてしまうと激旨の逸品が出来上がります。
今回は、なんと200円の天然ブリの子をゲット!昆布と合わせて佃煮にしました。他に鯛の子やムツの子でも同様に美味しく作れます。
【材料】
・ブリの子:ひと腹(200g程度)
・出汁昆布:5cm程度
・日本酒:カップ1/2
・本味醂:大さじ2
・砂糖:大さじ1
・醤油:大さじ2
・生姜:薄切りで適宜
なんと200円!の天然ブリの子
【作り方】
1./ブリの子はボウルに塩水をたっぷり作り、その中で振り洗いする。太い血管や膜などがあれば取っておく。
2./出汁昆布は1cm角程度にハサミで切り、日本酒に浸けて1時間ほど置いてふやかしておく。
3./鍋にたっぷりの湯を沸かし、1を入れて5分程度ゆがき、ザルにあげておく。ブリの子は意外と丈夫で、皮が破けていても卵粒がこぼれ出ることはない。
皮を縦に割いても卵粒はこぼれない
4./3を2cm程度の輪切りにする。
5./2を鍋に入れ、沸騰させてアルコールを飛ばしたら、生姜、本味醂、砂糖、醤油を入れて煮立て、4をそっと入れて中火で煮汁が少なくなるまで20分程度煮る。輪切りにしたブリの子は火が入ると皮が縮んで菊の花のように開いていく。
菊の花のように開く
6./煮汁が少なくなったところでブリの子だけ器に盛り、煮汁を煮詰め、上からかけて出来上がり。
煮汁を煮詰める
甘辛でコク味のある佃煮