冬の食卓を華やかに
京都は海に面していないために、新鮮な魚が手に入りませんでした。そこで、魚を塩や酢で〆る料理が発達しました。
アジやイワシを使えば普段のおばんざい(お惣菜)になりますが、晩秋から冬の間は、ちょっとおしゃれな「柚子釜」を作ります。
塩麹を使うことで〆る時間を短縮し、簡単にできるようアレンジしました。旨味も増しています。
年末年始、ハレの日(特別な日)に食卓を華やかにする一品です。
塩麹と柚子果汁で味付け
黄色い柚子をくり抜き、その中に、塩麹や柚子などで味付けした食材を盛り付けます。
魚は、若狭の小鯛を使うのが定番ですが、鯛やヒラメ、アジ、イワシなど刺身にする魚ならたいてい使えます。
柚子の果汁がヌルヌルしているのは、ペクチン質を含んでいるから。血糖値上昇の予防、コレステロール値のコントロールといった働きがあります。そのほか、ビタミンCやクエン酸も豊富に含んでいます。
【材料】
・柚子(黄色い物):1個
・鯛(ヒラメやアジなど刺身にできる魚なら代用可能):50g
・ミツバ:50g
・塩麹:適宜
・柚子の果汁:大さじ1
・酢:小さじ1
・砂糖:5g
・顆粒だし:ひとつまみ
・昆布(キッチンばさみで細く切ったもの):少々
・しょうゆ:お好みで少々(なくてもよい)
【作り方】
1./3枚におろした鯛に塩麹をすり込み、冷蔵庫に10分程、置いておく。
塩麹はたっぷりめに
2./柚子を、蓋の部分と器にする部分とに切り分ける。器の部分の中身をくり抜く。中身は取っておく。
きれいにくり抜く
3./2の柚子の果肉から、茶こしや布巾を使って、果汁を絞り取る。
4./3の柚子果汁に、酢、砂糖、顆粒だし、昆布、しょうゆ(なくてもよい)を足して混ぜる。
5./ミツバを1㎝ほどに切る。
6./鯛を薄切りにする。
7./4の調味液に、ミツバと鯛を入れて、混ぜ合わせる。
砂糖の量はお好みで調整を
8./柚子釜に入れる。
~~「長芋とイクラの柚子釜」~~
魚の替わりに短冊切りした長芋を用い、その上にイクラを載せます。
オードブルとして
~~和風に~~
おせち料理としても
ぜひ蓋をしたまま、お出ししましょう。蓋を開けた時、家族やお客様が目をみはる表情こそ、料理した人へのごほうび!
よろしゅうおあがり(京都弁で「どうぞお召し上がり下さい」)。
福田恭子/フリーランス・ライター。京都市生まれ。ドイツ・テュービンゲン大学で学ぶ。文化を専門として茶道家元や京都の老舗料理店の広報誌編集長を務め、国内各地や世界50カ国で取材。