人類最古の“発酵はちみつ酒” 「ミード」が気になる!

カテゴリー:酒 投稿日:2017.09.29

 「ミード」と呼ばれる、はちみつが原料の発酵酒を知っていますか?
 じつはその歴史はビールやワインよりも古く、1万年以上前の旧石器時代からつくられていたといわれる「人類最古の酒」。一説によると、クマなどの動物に荒らされて、ひっくり返った蜂の巣に溜まった雨水を通りがかった狩人が偶然飲んだのが最初だともいわれています。
原料はいたってシンプル。蜂蜜、水、酵母菌を混ぜたものを数日間かけてアルコール発酵させた醸造酒です。この原料からも、自然にアルコール発酵が進んで偶発的にできたものだということがうかがい知れます。

 ただ、最古のお酒なのに知名度はそれほど高くありません。なぜかというと、お酒自体の歴史に関係があるのです。
 ミードは、ギリシャ神話のなかで「神々の飲み物ネクタル(ミードのこと)」としても崇められていたという、歴史深いお酒。中世初期まで、現在の欧州地域ではよく飲まれていた一般的なお酒でした。ところが、人口が増え、需要が増えるのに反比例し、森林伐採などの環境の変化によって蜂蜜が減少するようになっていきます。それに代わり、ホップからつくられるビール、ぶどうからつくられるワインが台頭してきます。その結果、ミードは希少なお酒として貴族的な飲み物となっていったというわけです。

 

「薬・メディスン」の語源にも?
 かの有名なエリザベス女王1世は、ミードにハーブやスパイスを漬け込んだ「メセグリン(metheglin)」を愛飲していたといわれています。血行が促進され身体が温まり、健康によいことから「薬・メディスン(medicine)」の語源にもなっているほど。風邪気味のときに、ミードを火にかけ、アルコール分を飛ばして飲むという民間療法も残っています。
 現在のミード酒の市場は、気候の関係でぶどうの栽培がむずかしい、北欧、東欧やロシアなどの寒い地域が主流。現在、蜂蜜の採取が減少の一途をたどっていることもあり、なかなか市場に出回らない貴重なお酒となっています。その長い歴史を感じながらじっくり味わってみたいものです。

 

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編集部
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