材料費ゼロ! 天然のテングサで寒天を作る〈前編〉

カテゴリー:発酵食品全般 投稿日:2017.08.26

 夏も終わりに近づきましたが、夏の名残に天然のテングサで寒天を作ってみませんか? しかもテングサは買うのではなく、波打ち際に打ち寄せられているものを採集します。「そんなの落ちてないよ」と思われるかもしれませんが、波打ち際をよく見ると案外、たくさん打ち寄せられていて、しかも加工せずにすぐ寒天が作れるものがゲットできるのです。ぜひ挑戦してみてください。

 

 テングサ求めて南房総へ

 ところてんなど寒天の原料になるテングサは、正式には紅藻類テングサ目テングサ科に属する海藻で、一口にテングサといっていますが、実はいろいろな種類が存在しています。

 一般的には「マクサ」というテングサが上質なものとされています。「マクサ」は日本全国に分布し、決して珍しいものではありません。色は鮮やかなえんじ色です。

鮮やかなえんじ色が美しい

 

 目当てのテングサはこんな姿をしています。この写真を見れば、「あ、見たことある」と思う方が多いのではないかと思います。

 これを寒天にするには、陽にあてて乾かし、乾いたら水をかけてまた陽に干して、を色が抜けて白くなるまで1週間程度繰り返します。白くなったテングサを煮出した液を固めれば寒天になるわけです。粉寒天や棒寒天から作ったものと比べると、風味や食感は格段に上です。

乾燥、濡れる、を繰り返して白く

 

 テングサから作った自作寒天はそんなに味が違うなら作ってみよう! ということで、編集部でも8月半ば、房総半島の南端の南房総市に採集に出かけました。黒潮の影響で波が比較的荒く、岩場も多い男性的な海です。

 

 海に入ってみる

 まずテングサがこの海に生えているのか、干潮を見計らってひざ丈ほど海に入ってみました。目が慣れてくると、おおっ!わさわさと生えているではありませんか!

 しかし、これを採ってはいけません。テングサは漁業権の対象になっているところが多く、勝手に採ってはいけないのです。そこで、「とる」のは写真だけにしました。

 

 波打ち際を歩いて探す

 海に生えているということは、打ち寄せられるテングサもあるということです。そこで、波打ち際を歩き始めて2分、鮮やかなえんじ色のテングサを発見! 前日やや時化ていたおかげか、1つ見つけると次から次へと見つけることができました。

波で打ち寄せられたテングサ

 

 白いテングサに気づく

 こうしてテングサを探していると、おや? 白い色をしたテングサも一緒に落ちている! おそらく流れ着いたテングサが、自然に砂浜で雨や波で濡れ、また陽にあたって乾燥し…を繰り返し、自然に色が抜けたのでしょう。これなら寒天にするために陽に干して色を抜く必要がない! ということで、白いテングサを拾うことにしました。

真ん中がテングサ。これを拾う

 

 30分も経たないうちに、100g以上の白いテングサを拾うことができました。完全に乾燥しているので、100gといっても相当な量があります。これで寒天の材料をいとも簡単に入手することができました。

乾燥状態で100g以上はある

 

 寒天作りのために下ごしらえ

 入手したテングサには、砂や貝殻、他の海藻などが絡みついています。目につくものを取り去り、一度きれいに揉み洗いしてザルに広げてもう一度干します。これで準備OKです。こうしておけば保存が効くので、好きな時に絶品寒天を作ることができます。

他の海藻や貝殻などを取り除く

 

 さて、次回〈後編〉でいよいよ寒天作りに挑戦します。

 

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この記事を書いた人

編集部
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