納豆は納豆菌で作りますが、植物や空気中に漂っている枯草菌でも簡単に納豆が作れるらしいというウワサをご存知ですか。その辺の植物で納豆ができるなんて夢のよう! ということで編集部ではこれを検証すべく、夏休みの自由研究としてさっそく実験してみました。
枯草菌がいそうな植物を探す
ネットで検索してみると、納豆菌は枯草菌の一種で、現在市販されている納豆は作りやすく食べやすい(例えば匂いがきつくないなど)改良された納豆菌で作られていることがわかりました。
ならば、野生の枯草菌で作れば野性味あふれる味になるはずだと、納豆なら稲藁! と稲藁を探しました。しかし、そう簡単には見つかりません。そこで稲に近い植物、簡単に入手しやすいススキで実験することにしました。その辺に生えている、ただのススキです。稲の親戚というだけです。こんなものに枯草菌なんているんでしょうか。
いよいよススキ納豆を作ってみる
枯草菌は、沸騰した湯で20分煮ても死滅しない超強力な菌なので、この生命力を利用してススキを煮沸し、他の雑菌を殺菌します。また40℃ぐらいに保つ必要がありますが、夏なので日中は陽があたる場所に置き、夜間は保温バッグに入れて携帯カイロで保温することにしました。車の中に放置する、でもよさそうです。下記は実際にやってみた作り方とその記録です。
【材料】
・乾燥大豆50g
・ススキの葉:長いもの2〜3枚
・水切りができる容器
・容器が入るビニール袋
・発泡スチロールの容器や段ボール、毛布やタオルケットなど保温ができるもの
・携帯カイロ:1個
【作り方】
1./大豆は水に1昼夜以上浸す。
2./1を柔らかくなるまでゆでる。圧力鍋なら圧力がかかってから20分程度、普通の鍋なら2時間程度ゆでて、親指と小指で軽くつまんでつぶれるぐらいまでの柔らかさにする。
簡単につぶれるほど柔らかい
3./ススキの葉を10cm程度に切って洗い、10分程度ゆでる。
4./熱湯消毒した水切りができる容器に3を敷いて熱い大豆をのせ、その上に乾燥を防ぐために3で蓋をする。これをビニール袋の中に入れて少しだけ空気が入るようにする。
ゆでたススキで蓋をする
5./4を日中は日向に出し、夜は保温ができるものに入れて携帯カイロなどで保温し、40℃前後をキープする。
夏の日向はなんと41.5℃!
6./24時間経ったところで、様子を見る。豆全体が白っぽくなって糸を引いていたら出来上がり。足りないようならもう少し発酵させる。
7./出来立てはアンモニア臭が強いので、別の容器に移して冷蔵庫で1~2日ほど熟成させる。
成功したのか?! ススキ納豆
布製の保温バッグを使い、日中は陽にあてて24時間、40℃前後を保つことはできましたが、ススキとゆで大豆は果たして発酵したのか、ドキドキしながらススキの葉を取り除いてみました。すると…おおっ!! 見事に大豆の周りに菌がついて白くなっているではありませんか!
豆が白くなってまさに納豆!
香りはまさに納豆! かなり強烈で、市販の納豆よりクサイです。しかし、納豆好きな方にはたまらないかもしれません。ここでめげずに容器に移し、冷蔵庫で2日熟成させました。
2日後取り出してみると、納豆臭がだいぶ無くなっていました。市販の納豆並みです。豆の色も濃くなっています。では糸引きはどうか。うーん、今イチというところでしょうか。
出来立てはかなり強烈な納豆臭
問題の味を検証してみます。糸引きは少ないものの、納豆としてかなり美味しいです。気のせいか、野生的な味がします。しかし、ちょっと乾燥して固い部分もありました。ススキの葉に隠れていない部分だったようです。全部豆が隠れなかったのは反省点です。陽にあてて温度を上げる作戦を取る場合は、特に注意が必要だと思います。
検証した結果、「納豆はススキでも作れるし、なかなか旨い」ということがわかりました。
枯草菌は非常に強いし、熱湯消毒しているので腐る心配はあまりないようですが、挑戦してみて少しでも匂いや味が変だと感じたら食べるのはやめましょう。
次回は【「野草で納豆が作れるか?! <後編>】で他の野草で作ってみたら違いはあるか」を検証します。