とんち話の「一休さん」で知られる室町時代の禅僧、一休宗純が広めた「一休寺納豆」の仕込みが、京都府京田辺市の酬恩庵一休寺で始まりました。
一休寺は、一休禅師(1394〜1481年)が晩年を過ごした寺です。「一休寺納豆」は応仁の乱(1467〜1477年)後の混乱で飢えに苦しむ人々を救おうと、一休禅師が中国伝来の製法を伝え広めたものと言われ、代々の住職に受け継がれてきました。糸を引く現在の一般的な納豆とは異なり、蒸した大豆に、はったい粉という大麦を炒って挽いた粉と麹をまぶして発酵させ、10ヵ月ほど天日干しして仕上げます。
7月下旬に始まった今年の仕込みでは、蒸した大豆360kg、はったい粉300kg、熱湯で溶いた塩150kgと麹、計約810kgを直径約1mの6つの桶に漬け込み、田邊宗一住職(67)が炎天下の中、丁寧にかき混ぜて水気を飛ばす作業に取り組みました。作業は来年5月まで続き、熟成させてうまみを増すために、さらに1年ほど寝かせ、塩味のきいた独特の風味が特徴の黒色の納豆に仕上げます。今年は晴れて暑い天気が続き、発酵や天日干しも順調に進んでいるそうです。
もろみをしっかりかき混ぜる
天日干し
肉食を控える僧侶にとって、一休寺納豆は貴重なたんぱく源、保存食として珍重されてきました。お茶漬けやご飯のお供にも酒の肴にも合うばかりでなく、最近は洋菓子やドレッシングの隠し味としても用いられるそうです。
一休寺納豆
たまごかけご飯にも合う
田邊宗弘副住職(37)は「地元の多くの飲食関係者のお手伝いをいただき、今年も伝統食品としての継承と新たな発信を行うことができました」と話しています。
1袋(100g)850円(税込み)から販売しています。問い合わせは、酬恩庵一休寺(0774-62-0193)へ。
※酬恩庵一休寺:http://www.ikkyuji.org/