5年前の東日本大震災の津波で大きな被害を受けた岩手県の大槌町に来春、特産のカキのテーマパークがオープンします。カキ加工場にシーフードレストラン、殻むきなどの体験施設が併設されます。関係者は「復興の力になれれば」と話しています。
オープンするのは「大槌牡蠣(かき)ノ星」。カキ料理のレストランを全国で34店舗展開する「ゼネラル・オイスター」(本社・東京)が運営します。
同社によると、約1000平方メートルの加工工場では、地元のカキを使って冷凍カキやカキフライなどを製造します。シーフードレストランでは、カキ料理などに加えて、大槌産のカキを使った黒ビール風味の「オイスター・スタウト」も楽しめるそうです。
大槌川、小槌川の2つの川とつながる大槌湾と船越湾は海中プランクトンが豊富で、プリプリとした身のマガキが育つ海でした。しかし、大震災の津波で養殖施設がすべて流出してしまいました。現在、再出発した養殖業者に加え、新たに挑戦する漁業者も加わるなど、かつてのカキ養殖の活気を取り戻す途上にあります。
「ゼネラル・オイスター」は2006年、ノロウイルスの風評被害で経営状態が厳しくなった折、使っていた大槌産カキの支払いを猶予してもらったことがあり、その縁から2013年に町とテーマパークの立地協定を結びました。総事業費は13億円で、国の予算から8億円が補助されます。
5月20日にあった地鎮祭では、平野公三町長、ゼネラル・オイスターの吉田琇則・代表取締役CEOらが出席。盛岡市出身の吉田さんは「震災後、大槌に恩返しをしたいと思っていました。県外からのお客様を呼び込んで交流人口の拡大につなげたい」などと意気込みを語りました。
同社の担当者は「6次産業化を目指し、将来的には育苗、養殖から加工まで大槌で完結できるようにしていきたい。地元での雇用も極力増やして復興に貢献していきたい」と話しています。
※「大槌牡蠣ノ星」ウェブサイト:http://www.kakinohoshi.com/otsuchi/