まだ食べることができるのに様々な理由で処分されてしまう食料品を、食べ物に困っている人や福祉施設などに無償で提供する「フードバンク」の取り組みが広がっています。コープさっぽろ(札幌市)は、5月から北海道に23ある児童養護施設への無償提供を始めました。子どもたちの食生活を充実させる取り組みで、将来は食育にも力を入れていきたいそうです。
「フードバンク」は「食料銀行」の意味で、流通できない食べ物を処分せずに食べ物に困っている人々に届ける活動です。40年以上前に米国で始まり、日本でも2000年頃から各地で様々な取り組みが広がっています。
コープさっぽろが5月5日から始めたのは「トドックフードバンク」で、生活協同組合としては、コープ東北(仙台市)に続き、全国2番目だそうです。組合員の注文ミスで返品されるなどで出てしまった流通できない食料品を道内各地の配送センターにまとめ、週に1回程度、児童養護施設の担当者に取りに来てもらう仕組みです。
提供する食料品は、米や冷凍食品、調味料、ジュース、お菓子、アイスクリームなど、その都度変わりますが、賞味期限が1ヵ月以上残っているものになります。コープさっぽろの鈴木昭徳マネジャーによると、児童養護施設の一人あたりの食費は一日1100円ほどで、献立もほぼ固定されているため、普段はなかなか食べられないおかずやお菓子など、施設で生活をしている子どもたちにとって「うれしいサプライズ」になるそうです。また、提供された米をみんなで研ぐなど子どもたちの食育の機会にもなるといいます。提供食品は施設内の子どもたちに限定していないため、かつては施設で暮らした経験のある青少年への支援にもなるそうです。
コープさっぽろで注文ミスなどにより出る流通できない食料品は年間2400万円ほどになるそうで、今回の取り組みは廃棄コストの削減にもつながります。
鈴木マネジャーは「組合員から『もったいない』という声もあり、子どもたちの食の充実につながればと思って始めました。今後は、料理研究家の方など食育の専門家を派遣して子どもたちと一緒に料理をつくってもらうなどの取り組みも考えていきたい」と話しています。
※トップ写真は提供食料品例