能登の魚醤「いしる」で絶品パスタ!!

カテゴリー:醤油 投稿日:2016.05.23

石川県の能登半島には、「いしる」または「いしり」と呼ばれる独特の魚醤を使う食文化があります。これは、魚介類の内臓に塩を加えて漬け込み、1年以上かけて発酵・熟成させた浸出液で、「しょっつる」「いかなご醤油」と並ぶ、日本三大魚醤の一つです。

大まかには、日本海側の外浦地区に伝わるイワシやサバを原料とした「いしる」、富山湾に面した内浦地区に伝わるイカを原料とした「いしり」に分類されます。

古くから人は魚のことを「いお」または「い」と呼びましたが、その汁という意味で「いおしる」「いしる」「いしり」という名が生まれたようです。別名として、魚の余った汁という意味の「よしる」「よしり」という名称も残されています。

 

●能登の郷土料理「いしる鍋」

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「いしる」は晩秋から初冬にかけて仕込み、翌年の晩夏から秋にかけて出来上がります。販売されているものはさらに1~2年置いてうま味を引き出してあるので、年間を通して入手できる万能調味料です。刺身醤油として人気があるほか、漬物や煮物に使われますが、何といっても有名なのは「いしる鍋」でしょう。

材料は昆布だし500ml、いしる50ml、日本酒50mlを土鍋に入れ、具材を入れて煮立たせます(4人前)。

具材は魚介類(エビ、イカ、ホタテ、白身魚などの中からお好みで)、豆腐、野菜類(白菜、春菊、ナス、ネギなどの中からお好みで)、きのこ類などご自由に。一煮立ちしたら出来上がり。あまり煮詰まらないうちにいただきましょう。「いしる」は塩分とクセが強いので、薄味でつくって、物足りなかったら足していくのが賢明です。

 

●和風ペペロンチーノにも合う「いしる」

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パスタが好きな人は、和風ペペロンチーノにも「いしる」を使ってみましょう。ペペロンチーノはオリーブオイル、ニンニク、鷹の爪、塩、コショウで味付けをしますが、塩を少なめにして、その分アンチョビをほぐし入れても絶妙な風味に仕上がります。そこで、アンチョビの代わりに「いしる」を加えるのです。

 

魚醤は東南アジアの国々でもつくられ、代表的なものにナンプラー(タイ)、ニョクナム(ベトナム)などがあります。どれもクセがあり、好き嫌いもあると思いますが、風味づけに使うと料理の腕が上がること間違いなし。手軽に応用できて失敗が少ないのが、写真で紹介した和風ペペロンチーノ+「いしる」の組み合わせです。

「いしる」の味は、醤油のようでありながら、原材料の魚介類の凝縮されたうま味がギュッと詰まっているところ。小瓶を手元に置いておくと、年間を通して調味料の選択肢が広がることでしょう。

 

※トップ写真左はイワシ、右はイカの内臓を発酵させた「いしる」

 

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この記事を書いた人

編集部
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