野球シーズンの始まった横浜スタジアム。野球観戦といえば、売り子さんから買った生ビールを片手に、なんていうのが定番の人も多いのではないだろうか。そんなスタジアムで飲む生ビールに、今年4月からクラフトビールが日本で初めて登場した。その名も「ベイスターズエール」。横浜スタジアムでしか飲むことができない。製造元は大手4社のビールメーカーではなく、横浜の小規模ビールメーカーである横浜ベイブルーイング。
クラフトビールや地ビールに正確な定義はないが、大規模工場で大量生産されたビール以外のもので、醸造する職人のこだわりと手間をかける愛情が創り出したビールといってもよい。
その味や個性は造り手によって千差万別。製造の過程がオートメーションでなく生産量も限られ、原料や水や製造方法に無数のバリエーションがある。なので、色、泡、香り、味わい、余韻、バランスなど様々な要素を楽しむことができる上に、どれ一つとして同じビールはない。これがクラフトビールの奥深さ、面白さであり、造り手の顔が見える個性豊かなビールなのである。
またクラフトビールにはいつ、どこで、誰が、どんな材料でどんな風に、どんな想いで造ったのか。グラス一杯のビールにそれぞれのストーリーが醸(かも)されている。
日本国内では、ここ数年間でクラフトビールの認知度は上がり、クオリティの高いビールを製造する小規模醸造所が飛躍的に増えた。1995年には国内で約20社ほどだった小規模醸造所が現在では200社以上もあると言われている。
東京近郊エリアでも、10年前には国産クラフトビールを提供する飲食店は20店舗ほどしかなかったが、現在は300以上に増えている。
神奈川県茅ヶ崎市にあるクラフトビール専門飲食店の店主はこう言う。
「6年前に店をオープンした当初は東京や横浜のほうから電車に乗って飲みに来てくださるクラフトビール愛好家のお客様が多かったのですが、現在はお客様の約9割を地元の人が占めるようになりました」
30席ある店内は夕刻になるといつも大賑いだ。
「いらっしゃるお客様は、やはりアンテナが高くこだわりをお持ちの方が多いのも特徴です」
クラフトビールは私たちの身近な存在になった。
街で、スタジアムで、カフェで、コンビニでクラフトビールを探してみよう。あなただけにぴったりの一杯が見つかるかもしれない。