4月1日配信「お花見で飲みたい日本酒5選!」を読んだ人から、「吟醸酒と大吟醸酒の違いがよくわかりません」という声がありました。知っているようで知らない日本酒の特別名称についてお話します。
「吟醸酒」と「大吟醸酒」の違いは、精米歩合の違いです。吟醸酒は精米歩合が60%以下(つまり玄米を40%以上削る)、大吟醸は精米歩合が50%以下です。こうした日本酒の表示は、酒税の元締めである国税庁が決めています。
精米歩合とは別に、「純米酒」という表示があります。これは、米と米麹だけを原料にした日本酒という意味。つまり、醸造アルコールを使っていないのです。この純米酒に精米歩合を組み合わせると、「純米吟醸酒」(精米歩合60%以下)、「純米大吟醸酒」(精米歩合50%以下)となります。
細かくなりますが、「特別純米酒」という表示もあります。これは、原料が米と米こうじ(醸造アルコールなし)、精米歩合が60%以下または特別な製法(要説明表示)となっています。つまり、精米歩合が60%以上でも香味や色沢(しきたく=いろつや)が特に良好なら表示してもよろしいというわけです。
さらに「本醸造酒」と「特別本醸造酒」という表示があります。本醸造酒は精米歩合が70%以下、特別本醸造酒は精米歩合が60%以下または特別な製法(要説明表示)。いずれも香味、色沢が良好という要件があります。
以上の「吟醸酒」「大吟醸酒」「純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」「特別純米酒」「本醸造酒」「特別本醸造酒」の8つは「特別名称」と呼ばれ、いずれも「こうじ米」使用割合が15%以上(白米の重量に対するこうじ米の重量の割合)、吟醸酒や本醸造酒に使用できる醸造アルコールは白米の重量の10%以下と制限されています。
【その他の表示】
ほかの表示も説明しておきましょう。「生酒」は精製後にいっさい加熱処理しない日本酒。「生貯蔵酒」は精製後に加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際に加熱処理した日本酒。「生一本」はひとつの製造場だけで醸造した純米酒。「樽酒」は木製の樽で貯蔵して木の香りのついた日本酒のこと。
国税庁の基準にはありませんが、伝統的な製法の「生酛(きもと)」「山廃仕込み(やまはいじこみ)」もあります。手間がかかるために明治期以降は途絶えていましたが、その製法を再現してつくられた日本酒です。
日本酒の持つ奥深さの一端を知れば、花見酒も一段とおいしくなることでしょう。