春の香り豊かな食材、山椒の若い芽である木の芽。その花の花山椒。そして結実した実の実山椒。若い芽はその香りを楽しみ、花を使った花山椒鍋は清々しい美味しさがあります。実山椒の持つキレのあるスパイステイスト。季節のうつろいとともに姿を変えながら舌を楽しませてくれるのが山椒です。今回は、その中から旬を迎えている実山椒の下処理の方法と醤油漬けの作り方をご紹介します。
実山椒の醤油漬けの作り方
【材料】(作りやすい分量)
・実山椒:約80g
・日本酒:50ml
・醤油:50ml
・淡口醤油:25ml
・みりん:25ml
・塩:適量
【作り方】
1./実山椒の実を外す。
鋏または指で実山椒を小枝から外す
すべて小枝から外し終わった実山椒
2./1の実山椒を洗い、熱湯に塩を入れ、茹でる。
沸いている湯に一気に実山椒を入れる
3./数分茹でたのち、箸で一粒つまみ食べてみて、もう少しだけまろやかな方が食べやすいな、というタイミングでザルにあげる。
4./3の実山椒を約30分水にさらし、食べてみてちょうどよい刺激になっていたら濾(こ)す。まだ刺激が強いようだったら水を変え、さらに30分水にさらす。
味見を忘れず、さらし過ぎないように
5./鍋に日本酒と4の実山椒を入れ、ひと煮立ちさせたのち、醤油、淡口醤油、みりんを入れ、小煮立ちの状態で5分ほど煮たら出来上がり。味を含んだ実山椒もさることながら、実山椒の香りと旨みがうつった醤油もごちそう。冷奴に、刺身に、煮物のアクセントなどに。
実山椒が煮汁に浸かるように煮る
仕上りは実山椒が一回り小さくなる
刺身に実山椒醤油(写真はカンパチ)
清々しい、翡翠色に実った実山椒から発せられる柑橘香と、口に含んだときのパンチのきいた味わいの組合せは唯一無二のスパイスかと思います。先にご紹介した使い方のほか、下処理したプレーンの実山椒は、今まで七味を使っていた献立に置き換えてお使いいただくのもおすすめです。ぜひ季節の仕込みをお楽しみください。
(文・写真◎奥田ここ)
国内外各地の市場を「師」とあおぎ、様々なスタイルでの和食及びイタリア家庭料理の料理教室を主宰。各種媒体・広告へのレシピ提供や食材産地の取材および食に関する企画・執筆、オーダーメイド仕様の出張料理など、国内外問わず活動中。素材の味を大切に無駄なく使い切る献立作りを心掛けている。
kokookuda (https://www.instagram.com/kokookuda/)