酒蔵だより(5)相身互いの精神

カテゴリー:酒 投稿日:2024.03.05

元日夕方、能登地方を襲った強い地震による破壊と被害は止まることを知らず、一瞬にして日常を奪われた光景に胸が震え、心が痛みます。(経験者として)ひたすら亡くなられた方々に哀悼の意を表し、ご遺族と被災された方々に心よりお見舞いを申し上げるばかりです。

能登は誰もが知る名杜氏輩出の里であり酒どころ(日本酒の蔵元11社)。

45年ほど前、ある方から「ぜひこの酒の試飲を!」と手渡されたのが加賀の菊酒として有名な『菊姫さんの大吟醸酒』でした。王冠を切り、盃に注ぐと同時にフルーティーな香りが立ち上がり、ロに含むと円やかでふくらみのある味がロ中に広がり、喉を通すとスッキリ爽やか…。この時これまで経験したことのないえも言われぬ味わいに「米からこのような酒が醸し出せるとは……」、衝撃でした。

時を移さずその方に「酒蔵を見学させてもらいたい!」とお願いし、蔵元への訪間が叶ったのでした。しかも何とその日には、柳社長(当時)と農ロ杜氏(能登)からの対応を賜り、こ挨拶を交わした後、真っ先に杜氏さんが釜場に案内して下さいました。

そこで農口さんが、かって「理想とする外硬内軟の蒸米を得るために、和釜をいくつも割ってしまいました…」と話され、この一言が「私の酒造りの原点」。今なお時代時代の節目節目には、味わった大吟醸の美味と、七月の酒蔵に白山から吹き下ろす心地よい冷風を思い出します。

戻りまして災害となりますと、当社も平成16年〜19年の間に三度(豪雨と二つの地震)の自然災害に被災。不安を抱え迎えた平成20年。将棋の米長邦雄さんから頂いた年賀状に直筆で、「お元気で!必ず春は又来る。私の信念はその一点です」とあり励まされ、勇気付けられ、活力がわき、今日に至りました。

これもひとえに多くの皆様よりのご支援のおかげと、心より深く感謝しております。

日本列島は災害列島!【相身互いの精神】で頑張り抜きましよう。

 

※トップ画像は平成16年7月の「7.13水害」で崩落した酒蔵裏山の修復の様子(この3ヵ月後にの平成16年10月23日には「中越地震」が発生)

 

令和6年2月9日

久須美酒造株式会社(新潟県長岡市) 会長 久須美記廸

 

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編集部
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