春の河原に咲く菜の花の正体
河川敷の土手などで菜の花の群生を見たことはありませんか?栽培しているような場所じゃないのに…と不思議に思うこともあるかもしれません。その正体が「セイヨウカラシナ」です。「セイヨウカラシナ」は,「クロガラシ」と「アブラナ」が自然交雑した種で、日本へは中国から弥生時代に渡来したといわれ、その後食用になりました。全国各地の荒れ地や河川敷土手など、時には河原一面に群生していることがあります。カラシナ特有の辛味があり,草丈は大きいもので1~1.5 m,葉は大根の葉に似ています。カラシナの生える場所には、「セイヨウアブラナ」も生えていることがあります。こちらも食用になりますが、葉は丸く、葉が茎を巻き込むように付くのが特徴です。
ギザギザとしたカラシナの葉
たかが野草とあなどるなかれ
「セイヨウカラシナ」は、塩漬けにするとご飯との相性が抜群です。浅漬けは爽やかな辛味と鮮やかな緑色が食欲をそそり、べっこう色になった古漬けは植物性乳酸菌発酵のうま味でまた別の味わいを楽しめます(参照記事:野沢菜漬けと健康長寿/2016.2.28配信)。菜の花が咲いてしまうと硬くアクも強くなるので、咲く前の今、さっそく採集に行きましょう。
ハサミを使ってはいけない!
まず、採集にはハサミを使わないことがポイントです。株を見つけたらその株の中心になっている太い茎を、手で触って簡単に折れるところから採ります。折ってみてポキっといかずにぐにゃっと曲がったら、それはもう「トウが立っている状態」で、硬くて食べられません。その場合は先端に向かって手で探り、折れるところを探して、摘んでいきます。大きな株だと、茎は直径1cmぐらいになりますが、それでも気持ちよくポキっと折れます。ハサミを使ってしまうとこの柔らさを確かめることができません。
簡単に折れるところを探す
茎の部分。柔らかくみずみずしい
わずか10分程度で約1kgを採集
●塩漬けにしてみよう!
採集したら、さっそく処理しましょう。茎の太く柔らかいところは漬けずに取っておけばおいしいお浸しにもなります。
【作り方】
1./しんなりさせ、辛味を出すために湯を沸かし、カラシナは洗ってざるにあげておく。
2./沸騰した湯をカラシナにまんべんなくさっとかける。特に茎の太い部分を重点的に。
すぐにしんなりするのでかけすぎ注意
3./色が鮮やかになってしんなりしたら、ギュッと水を絞る。漬物器ないしはボウルに、塩を適宜振りながらカラシナを重ねていく。その後、ボウルの場合は皿などで落し蓋をして、その上から重石代わりに1ℓぐらいのペットボトルをのせておく。
4./浅漬けであれば翌日から食べられる。塩分を洗って水を絞り、みじん切りにしてから再度ギュッと水を絞る。
爽やかでピリッとした香りを放つ
【アレンジレシピ】
●カラシナいなり
浅漬けのカラシナを酢飯に混ぜ、いなりずしに。油揚げの甘みとカラシナの辛味、歯触りが絶妙。油揚げはカラシナのピリ辛とのコンビネーションを考えて普通のいなりずしより甘めに味を付けた方がおいしい。
●カラシナの茎の醤油麹マヨネーズあえ
塩漬け前のお湯をかけた茎の、太く柔らかいところをちょっと食べてみて、柔らかければゆがかず、硬ければさっとゆがく。ゆがいたら水にとり、冷えたところで斜めに切り、醤油麹とマヨネーズを混ぜて上からかける。茎の甘みが引き立って、クセもなくシャキシャキとした食感がたまらない。