「ちはやぶる神代(かみよ)もきかず竜田川(たつたがわ)からくれなゐに水くくるとは」(在原業平)
百人一首の1つ、秋の絶景を詠んだ和歌です。意味は「神代の昔にも聞いたことがないよ、竜田川が紅色に水をしぼり染めにしているなんて」
奈良・法隆寺の近くを流れる竜田川の水面を真っ赤に染めて、紅葉が流れていく。時折、白い川波が見え隠れして。
そんな風景を料理にしたのが「竜田揚げ」。魚や肉にしょうゆベースの下味を付け、片栗粉で揚げたものです。衣の下から魚や肉が赤褐色に見え、衣が厚い部分は白く見えることから見立てたと言われます。
秋サバを竜田揚げにして、秋を味覚で感じてみましょう。
サバの竜田揚げの作り方
基本的には、しょうゆと酒とみりんだけで下味を付けますが、おろしショウガを足すと臭みが取れます。お好みで、おろしニンニクを足してください。衣は片栗粉を使います。
今回は、脂ののった秋サバを使いました。他にもイワシやアジなどの魚、鶏や豚などの肉でも美味しく作れます。
【材料】
・サバ:1尾(3枚におろして350g程度)
・しょうゆ:大さじ2
・酒:大さじ1
・みりん:大さじ1
・片栗粉:適量
・サラダ油:適量
・おろしショウガ:お好みで適宜(目安として10g)
・おろしニンニク:お好みで適宜(目安として1カケ)
・レモン:お好みで、くし形に切った1切れ
【作り方】
1./3枚におろしたサバを用意する。魚屋さんに頼んでもよい。
秋サバは脂がのっている
2./骨を抜き、食べやすい大きさに切る。
3./保存袋にしょうゆと酒とみりんとおろしショウガ、お好みでおろしニンニクを入れて混ぜる。
4./3の保存袋に2のサバを入れて、タレを塗り込み、30分ほど置く。途中で、タレにまんべんなく浸かるように袋の上から軽くもむ。
サバに下味を付ける
5./袋からサバを取り出し、キッチンペーパーで水分を拭き取る。からりと揚げるために、水分はしっかり取る。
6./片栗粉を付け、余分な粉は払い落とす。
粉を厚く付けすぎない
7./フライパンにサバの高さの2/3まで浸かる程度のサラダ油を入れ、180度まで熱する。180度の目安は、片栗粉を指先につまんで振り入れた時に、サッと広がる程度。片栗粉がハネると温度が高すぎる。6のサバを入れ、両面を揚げ焼きにする。
8./皿に盛って、お好みでレモンを添え、食べる前にレモン汁をかける。
竜田川に見立てた伝統的な和食
福田恭子/フリーランス・ライター。京都市生まれ。ドイツ・テュービンゲン大学で学ぶ。文化を専門として茶道家元や京都の老舗料理店の広報誌編集長を務め、国内各地や世界50カ国で取材。
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