腸の長さが違う(1)【小泉武夫・賢者の非常食(59)】

カテゴリー:食情報 投稿日:2019.08.18

 遺伝子には二種類ある

 この五〇年間で油の消費量が三・六倍、肉の消費量が三倍近くに増えた日本人は、 生活習慣病が増えました。それはなぜかというと、欧米風の食生活が日本人のDNAに合わないからです。ここからDNA、つまり遺伝子のことを考えてみましょう。

 遺伝子には、二種類あります。たとえば私の講演を五〇〇人の日本人が聞きに来たとすると、この五〇〇人はみんな同じ遺伝子を持っています。だからみんな日本人の顔をしています。しかし、一人ひとり顔が違います。それは、日本人という民族の遺伝子と、それぞれの家族の遺伝子がそこに入ってるからです。つまり遺伝子には、日本民族の遺伝子と家族の遺伝子の二種がそれぞれの人に入っています。

 日本人という民族の遺伝子は、赤ちゃんのときのお尻の青いあざ、蒙古斑(もうこはん)に代表される民族的な体質の共通性です。アングロサクソンやゲルマンの民族には蒙古斑はありません。

 

 牧草民族と牧畜民族

 その民族の遺伝子には、生活環境が反映されています。日本と西洋とでは、どのくらい生活環境が違うかを知るために、紀元前四五〇〇年くらい前のエジプトやメソポタミア文明を思い浮かべてください。壁画に牛が描かれていますが、そこに犁(すき)が付けられているのを見た記憶はありませんか。あれは、当時の西洋人が土地を耕している姿です。

 牛を飼う民族には、二種類あります。牧草民族と牧畜民族です。牧草民族というのは、 草のある土地に住んで遊牧する民族で、モンゴル人やバルカン半島の住民などがこれに相当します。牧畜民族というのは、草がなくても家畜を飼っている定住民族です。おもに麦を植えて、牛には麦藁(むぎわら)や脱穀(だっこく)したあとの麩(ふすま)を食べさせます。そして人間たちは、牛に乳を出させてそれを飲み、肉を食べるのです。つまり、大変栄養価の高いものを食べています。

小泉武夫

 

 

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編集部
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