地中海食は認知症予防にも役立つ
地中海をとり巻くイタリア、スペイン、ギリシャなどの国々で摂られている食事(地中海食)は、生活習慣病を防ぐことで有名だが、認知症を予防する効果もあることが知られてきた。この調査結果を発表したのはアメリカのコロンビア大学の疫学調査チーム。地中海食を多く摂った人のアルツハイマー型認知症の発症リスクは、あまり摂らなかった人に比べて約40%も低かった。
地中海食とは、野菜や果物、穀類、豆類、魚介類などをたっぷり摂り、オリーブオイルから不飽和脂肪酸を摂取し、併せて赤ワインを適量飲む食事のこと。その一方で、肉類や乳製品は控えめにする。
地中海食の特徴は、脳にいい種々の食材を組み合わせて摂ることで相乗効果が生まれ、脳が酸化から守られるところにある。抗酸化物質として名高いポリフェノールを多量に含む赤ワインを飲むことも、脳を酸化から守る役割を果たしている。
地中海に面するアマルフィ海岸
日本で証明された認知症を予防する栄養素
日本でも大々的な認知症予防研究が行われている。2001年から5年間、茨城県北相馬郡利根町に住む65歳以上の男女2000人を対象にした「利根プロジェクト」だ。
このプロジェクトでは、睡眠、運動、栄養の三方面から予防介入を行い、行った群は行わなかった群より約30%認知症の発症率が低いことが証明された。
介入内容は、睡眠が30分以内の昼寝。運動が「フリフリグッパー」と呼ばれる体操。栄養がEPA、DHA、銀杏葉エキス、リコピンを複合したサプリメントの服用だった。
EPAとDHAは青魚に含まれる栄養素で、動脈硬化の予防効果がある。欧州では医薬品扱いになっている銀杏葉エキスは、脳の血流を改善させる。トマトの色素として有名なリコピンは、活性酸素を除去する効果がある。
リコピンが豊富なトマトは美白・美肌効果もある
これらの栄養素を日常の食生活に取り入れると、認知症予防に役立ちそうだ。EPAとDHAは、青魚を刺身で食べるといい。銀杏葉エキスは、サプリメントとして市販されている。トマトに含まれるリコピンは、熱に強く油に溶けやすいので、生で食べるよりもソースやシチューのベースにすると吸収されやすい。日頃の料理にトマトの缶詰やトマトケチャップ、トマトピューレを活用するといいだろう。