料理やお菓子に加えれば、 ヘルシーになる上に「しっとりと仕上がる」と人気の食材があります。長野・群馬ではポピュラーな「粉豆腐」。簡単活用レシピ3選付き!
高野豆腐の栄養×粉の使いやすさ
粉豆腐とは、高野豆腐(凍り豆腐)をパウダー状にしたもの。家庭でも高野豆腐をおろし金ですりおろして簡単に作ることができます。
高野豆腐は精進料理にルーツがあるとされていますが、長野県にも「凍み豆腐」の伝統がありました。作り方は、まず豆腐を薄く切り分け、一晩外で凍らせます。その後1枚ずつワラで編んで、1週間~10日ほど軒先に干し、昼夜の温度差で“凍る”と“溶ける”を繰り返します。
粉豆腐
「なかには砕けてしまうものもあり、家庭でそれを粗挽きにして、油揚げや人参などを刻んだものと合わせ『炒り豆腐』にしていました。弊社は113年前から凍り豆腐を製造していますが、豆腐を削って成型する段階で “粉”が発生します。それを従業員が調理して食べていたのです」(みすずコーポレーション・商品開発部の持田明美さん)。
粉状の高野豆腐には特有の美味しさがあることから、同社では1977年頃に「粉とうふ」として商品化。以来、根強い人気を保っているのです。ロングセラーの粉豆腐には3つの優れた特長があります。
その1:栄養価が高い
高野豆腐は木綿豆腐を作るときよりも濃い豆乳を使って、固めの豆腐を作った上で凍結乾燥させるため、栄養が凝縮されているのです。特に良質のたんぱく質を卵に匹敵するほど含み、カルシウムは約3倍。鉄分や女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンも豊富です。
その2:消化吸収がよい
もともと“畑の肉”と呼ばれ栄養価が高い大豆は、豆腐に加工することで消化吸収がグンとよくなります。さらに高野豆腐の製造過程で「凍結変性」が起き、たんぱく質が多孔質になります。つまり、内部に含む水分が凍ることでたんぱく質にたくさんの微細な穴ができ、スポンジ状になるのです。それでふんわりとした食感が生まれ、だしや味が入りやすくなった上、さらに消化もよくなるというわけです。少量でもしっかり栄養が摂れるので、成長期のお子さんや食事量が減っている高齢者にお勧めです。
その3:調理が簡単
3つめは使い勝手のよさ。パウダー状なので調理しやすくなり、気軽に使えます。小麦粉などの粉類やパン粉の代わりはもちろん、ひき肉料理にも。自分でも料理に使うという持田さんによると、「ドライカレーやハンバーグのひき肉の代わりに使うと、口当たりがなめらかになる」効果があるといいます。
「高齢者ならひき肉の全量を、成人や子ども向けなら半量を置き換えるなど、使う量を調節するといいでしょう。粉豆腐は肉汁や味をしっかり吸うので、とっても美味しく仕上がります。上手に使えば肉を減らしたことがわからないほどです。パンや焼き菓子でも小麦粉の一部を粉豆腐に変えれば、しっとりしますよ」(持田さん)
【簡単粉豆腐活用レシピ】
“粉豆腐名人”の持田さんに、お勧めレシピを教わりました。
●こうや豆腐のドライカレー
「おいしく仕上げるコツは、カレー粉を加える前に粉豆腐に汁を十分含ませること。他の材料と混ぜて数秒から1分ほど待つと、粉豆腐が水分を吸いふんわりします」(持田さん)
【材料】(3人分)
粉豆腐:30g
お湯(40℃くらい):150ml
油:大さじ1
にんにく:1かけ
大豆(水煮):1缶(100g)
玉ねぎ:1個
人参:1本
カレー粉:大さじ1
〈A〉
ケチャップ:大さじ2
ウスターソース:大さじ1
水:350ml
カレールー:2個
コンソメスープの素:1個
【作り方】
1./粉豆腐にお湯を入れ、戻しておく。
2./玉ねぎ、人参、にんにくはみじん切りにする。
3./フライパンに油とにんにくを入れて中火で炒め、香りがたったら玉ねぎ、人参、大豆を加えて炒める。
4./3に火が通ったところで、1の粉豆腐を加える。
5./さらにカレー粉を加え、香りがたつまで炒める。
6./Aを全て入れ、煮詰めながら炒める。汁気がなくなったら出来上がり。
●炒りたまこうや
「成長期のお子様や女性に不足しがちなカルシウム、鉄分をおいしく補給できます」(持田さん)
【材料】
粉豆腐:50g
鶏ひき肉:25g
人参:15g
椎茸:10g
蓮根:25g
枝豆:15g
卵:1個
油:小さじ1
〈A〉
だし汁:200ml
砂糖:大さじ1.5
醤油:小さじ1
塩:小さじ1.5
【作り方】
1./人参は細切りにする。椎茸は石づきを取って細切りにする。蓮根は小さめの乱切りにして、分量外の酢水にさらす。卵は割りほぐしておく。
2./鍋に油を熱して、鶏ひき肉を炒める。火が通ったら枝豆以外の野菜を入れ、さっと炒める。
3./2にAを加え、野菜が柔らかくなるまで煮る。
4./3に粉豆腐を入れて手早く混ぜ、炒り煮にする。
5./4の汁気がなくなったら卵をまわし入れ、手早く混ぜ合わせる。枝豆を加えて火を止める。
●粉とうふのアップルケーキ
持田さんお勧めのお菓子です。
「小麦粉の一部と置き換えることで、しっとりした食感に仕上がります。ほかの焼き菓子やパンにも使えるテクニックとして好評です」(持田さん)
【材料】(アルミカップ20~30個分)
りんご:中1個
レーズン:50g
サラダ油:1カップ
バニラエッセンス:少々
アーモンドパウダー:100g
粉豆腐:100g
小麦粉:110g
ベーキングパウダー:6g
塩:5g
卵:2個
砂糖:100g
【作り方】
1./りんごは皮付きのまま、小さめのあられ切りにする。レーズンは粗みじん切りにする。
2./ボウルに卵を割り入れ、砂糖、サラダ油、バニラエッセンスを加え、よく混ぜる。
3./2に1のりんごとレーズンを加える。
4./別のボウルでアーモンドパウダー、粉豆腐、小麦粉、ベーキングパウダー、塩を合わせる。
5./4に3を加え、混ぜ合わせる。アルミカップに流し入れ、170℃のオーブンで30~40分焼く。
写真・レシピ提供/みすずコーポレーション