進化するインスタント食品
さてインスタントラーメンを生んだ日本人は、これをきっかけとして、さまざまな即席物をあみだした。おしるこ、ココア、スナックライス類(即席ご飯)、味噌汁、茶漬け、吸いもの、焼きそば、うどん、蕎麦(そば)、スープ類、豆腐、果汁など枚挙にいとまがないほどである。
だが、これらのインスタント食品のように、脱水、乾燥したものだけにとどまる日本人ではない。本格的に調理し、それを感触だけに終わらすことなく、ご飯の立派なおかずとしての即席食を世界に先がけてつくりあげたのも、この民族なのである。
レトルト食品も日本が広めた
その代表がレトルト食品で、「レトルト」とは、缶詰の殺菌に用いる高温加圧機のことである。
もともとは、アメリカで宇宙食の開発に研究されたものであるが、缶詰の代わりにフレキシブルな袋(アルミニウム箔とプラスチックフィルムを三層に張り合わせたレトルトパウチフィルム製で高温加熱殺菌が可能である)を用い、これにカレー、シチュー、ミートソース、ハンバーグ、調理ずみの和・洋・中華料理などを詰めて殺菌したものである。
食用時に、これを湯であたためるだけ。できたてのレストランの味が楽しめる即席物である。市販用として企業化されたのは、一九六九年の日本が最初である。そして、今度は加熱調理ずみの冷凍食品の登場。カキフライだろうが、新じゃがのポテトコロッケだろうが、季節を問わずに、年中いつでも新鮮に食べられるようになった。
狭い日本、こんなに急いでどこにいくのだろうか。