昨年10月に編集部がてらやま農園を取材した際に、青々と実っていた黒豆。年末に黒豆の収穫が終わり、てらやま農園ではこの時季に黒豆で納豆を作ると聞きつけて、さっそく取材に出かけました。
黒豆は、アスリートに欠かせない良質のたんぱく質を多く含み「畑の肉」と呼ばれています。さらに黒豆の黒い色素の皮にはアントシアニンというポリフェノールの一種やカルシュウム、鉄分、食物繊維などが含まれ、納豆のパワーを併せ持つ強力な食品といえるのです。
今回お話を伺ったのは、寺山亰乎(きょうこ)さんです。
寺山農園の優しいおばあちゃん
さて、数ヵ月前は枝豆とそっくりだったはずの黒豆。2月初旬に編集部が尋ねた今回は、すっかり見覚えのある乾燥黒豆になっていました。たったの数ヵ月で、いったい何が起こったのでしょうか。
昨年10月時点の黒豆
「豆打ち」をして取り出された黒豆
詳しくうかがったところ、収穫をする年末頃にはすっかり枯れて、豆が黒っぽくなるそうです。収穫後1ヵ月程度乾燥させ、カラカラに乾いたところで「豆打ち」と言って、棒で叩いて黒豆を取り出す作業を行うとのことでした。聞き慣れない言葉に興味津々の編集部のために、特別に亰乎さんが豆打ちの棒でデモンストレーションしてくださいました。
コツがあり、案外難しい「豆打ち」
こうして乾いた豆を棒で叩くと、豆が殻から飛び出すそうです。棒が意外と重く、毎年大変だとおっしゃっていました。
苦労して収穫したこの黒豆を納豆にする理由を「普通の大豆より、黒豆で作った納豆の方が甘味もあって美味しいからね」と教えてくださいました。
「昔はうちの農園でも大豆を藁で包んで、もみ殻の中に入れて納豆を作っていたんだけど、大変だから。最近は市販の納豆を使って、簡単に作っているんですよ。どのご家庭でも作れる、本当に簡単な作り方なんです」とも。
市販の納豆を使って簡単につくる黒豆納豆。いったいどんな味なのでしょうか。
黒豆納豆の作り方
1./黒豆をたっぷりの水に漬けて、一昼夜置きます。夏場は一晩、冬場は1日~1日半程度漬けましょう。
豆が3倍にふくらみます
2./豆がヒタヒタにかぶる程度の水を入れて、圧力鍋で煮ます。初めは強火にかけ、沸騰したら弱火にして、20分程度かけてじっくり煮ます。
吹きこぼれないよう火加減に注意
3./納豆にすると硬くなるので、通常よりも軟らかめに煮ます。
指で簡単に潰れる柔らかさに
4./煮えたら、清潔な保存容器に移します。少し水分がある方が粘り気のある美味しい納豆になるので、ザルにはあげずに、おたまですくって移します。
煮汁も少し入るように
5./4に、市販の小粒納豆を混ぜ合わせます。納豆菌が付着している面積が多いので、小粒納豆やひきわり納豆がおススメだそうです。
隅々までいきわたるように
6./座布団の上にタオルケットを敷き、その上に電気あんか、新聞紙を重ねて置きます。
電気あんかの登場
7./空気が入るように、割り箸を噛ませてから蓋をかぶせ、新聞紙で包みます。
納豆菌のために、密封は厳禁
8./新聞紙の上からタオルケットで包み、あんかの温度を「中」に設定して15時間程度待ちます。
ここまで仕込んだら放置でOK
9./納豆菌が繁殖して、表面が白っぽくなったら完成です。
黒豆が見事な納豆に!
黒豆が糸を引いて、しっかり納豆になっていました。食べてみると、大粒納豆のようなしっかりとした食感でありながら、ほんのりと香る甘味が鼻から抜けてとっても美味しいです。
黒豆を煮るのに時間がかかるので、一度に大量に煮ておいて冷凍保存しておき、食べたい分だけ小分けにして工程5以降を行えば、より気楽に作ることが出来ます。ぜひご自宅でお試しください。