伝統的な災害時のお米の摂取法
日本人は何を食べてきたのかという話をします。民族が食べ続けてきたものには、それなりの理由があります。地震などの災害が今後も起こり得ることを想定して、この先日本人がどのような食べものを大切にしていかなければならないか、という私からの提言です。
まず、第1に挙げなければならないのは穀物です。特に米は、日本人にもっとも適用性のある食べものですから、主食として食べていました。次が大麦(麦めしに用いる麦で押し麦、大麦の表皮をむいて炊飯用に加工したもの)と小麦です。 保存食としては、これらをどのように食べていたのでしょうか。
災害時は、炊飯ができません。そこで、そのまま消化吸収できるように、焼き米にして保存しておくのが一般的です。たとえば、お煎餅は一種の焼き米です。米を粉にして水で練り固め、焼いておくと、いつまでも保存できます。なぜかというと、お煎餅は水分を飛ばしてあるので、一定の水分を必要とする腐敗菌が活動できないからです。腐敗菌が増殖できない環境を作ることが、食べものを腐らせない条件です。
このことは、するめにも言えます。生イカはすぐに腐りますが、乾燥させて水分を飛ばしたするめはいつまでも腐りません。このように、乾燥させると保存がききますが、米をそのまま乾燥させても食べられないので、焼いてから粉にするのです。これを焼き米と呼んで、昔の日本人は保存食にしていました。
小泉武夫