微生物が生むエネルギー
地球上に生物が誕生したのは約36億年前ですが、その頃は微生物しかいませんでした。微生物が人間をはじめあらゆる生物の祖先なのです。そのことは、当時の地層に微生物の化石が残っていることから実証されています。
微生物は、ブドウ糖を体内に取り入れてエネルギーに換える「解糖作用(かいとうさよう)」を行います。ブドウ糖でなくても、麦芽糖でもショ糖でも果糖でも同じですが、何らかの糖分を体の中に入れ、ぐるぐる回しながらカロリーをつくったりいろいろなものに変換し、そのエネルギー(熱量)で生きているのです。
ブドウ糖が生命を維持している
微生物から発生した生物の一種である私たち人間もまた、ブドウ糖がなければ生きていけません。私たちが毎日食べるご飯はデンプンですが、デンプンのままでは吸収できないので、唾液(だえき)に含まれる消化酵素と胃の中にある消化酵素によって体内でブドウ糖に分解し、それを吸収しています。36億年前と、基本的に同じことをしているのです。
このように、必ず生き物は体内にエネルギー源を入れなければなりません。人類の主食は民族によってご飯(米)の他にもパン(小麦)、ジャガイモ、サツマイモといろいろですが、これらのデンプン質原料は炭水化物と呼ばれ、人間が生きていくために欠かせない三大栄養素の一つです。炭水化物はブドウ糖に変換されることによって、生命を維持します。病気や高齢で何も食べられなくなった人に点滴をしますが、あれはブドウ糖を入れているわけで、消化のプロセスを省略して、直接エネルギー源を体内に入れていることになります。
小泉武夫