川エビの味とDNA(1)【小泉武夫・賢者の非常食(27)】

カテゴリー:食情報 投稿日:2018.10.27

 日本は四方を海に囲まれているので、昔から魚だけはたくさん食べてきました。日本の国土は雨が多いので、それが地下水となり川となって海へ注いでいます。美しい川が多いことから、世界的に見ても淡水魚を多く食べる民族であるといえます。通常、私たちは海の魚を食べる民族だと思いがちですが、それは海の近くに住む人々の話であって、内陸部の人々はおもに川魚を食べてきました。このことは前にも述べましたが、サケやマスのような大型魚からヤマメ、イワナ、アユなど、さらに湖沼ではコイ、フナ、ウナギ、ドジョウ、ナマズなども食べていました。

 

日本人は魚の保存に長けていた

 ここでもうひとつ、忘れてはならないものは川エビです。現在の日本人は、世界中でいちばんエビを食べる民族として知られていますが、それは我々のDNAが川エビの味を知っているからだと思われます。昔の川や池には小さな川エビが無数に存在していたので、我々の先祖はそれを大量に獲って干し、保存食として用いていました。

 今のような冷蔵や冷凍の技術がなかった昔の日本人は、魚を保存する技術にたけていました。一般の家庭でよく用いられていた方法は、生の魚を串に刺して囲炉裏の火であぶる方法です。焼き上げた魚は、全部食べたりはしません。多くは囲炉裏の上にある自在に藁を巻いた部分に串のまま突き刺しておきます。そうすると、囲炉裏の熱で燻されて自然と魚の燻製ができ上がるのです。

小泉武夫

 

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編集部
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