2千年の歴史があるモロヘイヤスープ
モロヘイヤの原産地はエジプトとされていますが、現地ではスープにするのが最もポピュラーな食べ方です。今から2千年余り前、難病にかかった王様がモロヘイヤスープを飲んで回復したとか、クレオパトラ女王の好物だったという伝説もあります。
「現在でも、モロヘイヤスープを上手に作れることがお嫁さんの条件、と言われるのよ」とは、本場の作り方を教えてくれたエジプト人女性の話。モロヘイヤ専用包丁があるくらい、頻繁に食卓に上ります。難しい料理ではありません。健康と美容のために、さっそく取り入れてみてはいかがですか。
両手に把手のついたモロヘイヤ用包丁
美味かつ最強のタッグチーム
主な材料は、モロヘイヤとニンニクと発酵バターの3つだけ。ぜひ発酵バターを使ってください。発酵バターの独特のコクと香りが、モロヘイヤの青菜っぽいネバネバとニンニク臭とをマッチさせます。
栄養的にも、モロヘイヤには強い抗酸化作用を持つβカロテンが豊富ですが、βカロテンは水に溶けにくく油に溶ける性質があるので、バターと一緒に食べたほうが効果的です。
またニンニクは、ニンニクバターで知られる通り、バターとの相性バッチリ。アリシンという成分がビタミンB1の入った食品と一緒に食べることで、糖質をエネルギーに変換する成分を生み出します。そのビタミンB1は、モロヘイヤに豊かに含まれているのです。
これらを発酵バターで食すると、乳酸菌の働きにより、腸内で活発な摂取が期待できるというわけです。
モロヘイヤとニンニクと発酵バターの三者は、美味かつ最強のタッグチームといえるでしょう。
【材料】
・モロヘイヤ:100g(葉と柔らかい茎の量)
・発酵バター:20g(10gずつ2回に分けて使用する)
・ニンニク:10g
・チキンブイヨン:2個(水600cc用)
・水:600cc
栄養豊富な食品ぞろい
【作り方】
1./洗ったモロヘイヤを、細かく刻む。粘りが出始めても、さらに根気よく刻み続ける。フードプロセッサーだと、なぜか美味しさに差が出るという人もいます。刻み終えたモロヘイヤは、ねばねば状になり、体積もかなり減っている。
このくらいまで刻む
2./ニンニクを、ニンニク絞り器でつぶすか、おろし金ですりおろしておく。
3./鍋に発酵バター10g(全量の半分)を入れて火にかけ、2のニンニクを弱火で炒める。
4./ニンニクの香りがたってきたら、1のモロヘイヤを入れて、軽く炒める。
ねばねばをかきたてるように
5./水とブイヨンを投入する。弱火のままブイヨンを溶かし、よく混ぜる。
6./沸騰直前に火を消し、発酵バターの残り10gを入れて、混ぜる。発酵バターの香りが飛ばないうちにどうぞ。
喉ごしも良いスープ
エジプトでは、ご飯の上からかけて食べることもあるそうです。トロロご飯の食べ方に似ています。
福田恭子/フリーランス・ライター。京都市生まれ。ドイツ・テュービンゲン大学で学ぶ。文化を専門として茶道家元や京都の老舗料理店の広報誌編集長を勤め、国内各地や世界50カ国で取材。