ハーブ魔女の伝統を受け継ぐドイツ
ドイツには中世以来「ハーブ魔女」と呼ばれた人々がいます。魔法使いのおばあさんではありません。ハーブが大好きで、知識に詳しい女性のこと。
7月に入ると、ハーブ魔女たちはそわそわし始めます。「そろそろハーブビネガーを作らなきゃ」。庭に植えたハーブが育つのを待ちかねて、摘んで、酢に漬けます。それを使った料理でパーティーを開いたり、サンドイッチやサラダを持ってハイキングに行く夏が近づいているのです。
ドイツ・テュービンゲン市の市場
酢に漬けるだけ。お好みのハーブを見つけてください
ハーブには、それぞれの風味と薬効があります。好みのハーブに出会うまで、一種ずつ少量で試してみましょう。ドイツではワイン酢を使う人が多いようですが、経済的な穀物酢で十分です。
できあがったハーブビネガーの味くらべをして好みのハーブを見つけたり、いくつかを混ぜ合わせてみるのも、楽しいものです。
ドリンク、サラダやピクルス、肉料理に使えます。
【材料】
・ハーブ:適宜
・酢:ハーブが隠れる量
※ハーブは今回ローズマリー、ディル、イタリアンパセリ、チャービル、オレガノを使用。その他、セージ、ミント、タイムなど、好みのハーブで。下の写真は上段左からローズマリー、ディル、チャービル。下段はイタリアンパセリ、オレガノです。
【作り方】
1./耐熱容器を熱湯消毒するか、台所用アルコールで消毒しておく。
2./ハーブを洗い、キッチンペーパーで水気をふき取って、1の瓶に入れる。
3./ハーブが隠れるまで、酢を注ぐ。涼しい場所に置く。
日々色づいていく
4./1日1回、瓶を振って、ハーブの風味や香りが酢に溶け出るようにする。1週間くらいから食べることができる。十分に風味と香りが酢に移ったら、ハーブを取出す。取出した葉っぱは、柔らかければ、そのまま料理に使える。
【ハーブビネガーを使ったレシピ】
・ドリンク
水や炭酸で割る。ハチミツや砂糖を加えてもよい。夏は氷を入れてロックもおすすめ。
・ドレッシング
ハーブビネガー大さじ3,オリーブオイル大さじ3、塩少々、こしょう少々を、密閉できる容器に入れて振り混ぜ、材料が混じりあったらOK。
・ピクルス
ハーブビネガー150cc、水100cc、砂糖大さじ2、塩小さじ1の液に、好みの野菜を漬ける。
タマネギ、パプリカ、セロリなど
・肉料理に
鶏手羽元8本(あるいは豚肉300g)を、ハーブビネガー100cc、醤油100cc、水50cc、砂糖大さじ3で、煮る。
冷めてもおいしい
※5倍ほどに薄めて、ヘア・コンディシヨナーに使うこともできます。髪からほのかに漂う手作りハーブの香りに、思わず笑みが浮かびます。
文・レシピ:福田恭子/フリーランス・ライター。京都市生まれ。ドイツ・テュービンゲン大学で学ぶ。文化を専門として茶道家元や京都の老舗料理店の広報誌編集長を勤め、国内各地や世界50カ国で取材。