梅の酢といえば梅干を作るときに出てくる「梅酢」が思い浮かびますが、今回は生梅を発酵させた「酢」に梅由来のクエン酸、「梅エキス」がプラスされた「梅エキ酢」を作ります。以前紹介した「柿酢」同様、作り方は簡単、梅を発酵させるだけ。自作酢は作るのも楽しく、しかも美味しい! 「梅酢」と異なり塩が入っていないため、料理の他にサワードリンクとして飲むこともできます。
「梅エキ酢」が作れるのはこの時期だけ。ぜひ挑戦してみてください。
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「梅エキ酢」の作り方
材料の梅はそのものを食べるわけではないのでキズ梅で十分ですが、もちろん普通の梅でもOKです。またスーパーで見切り品として売られている梅などがあればチャンスです。
【材料】(「梅エキ酢」2ℓ程度の出来上がり)
・生梅(青梅なら追熟させる):1kg
・水:梅を瓶に入れて梅が全部かぶる量
・砂糖:水1ℓに対して130~140g(梅の完熟度で調整)
・梅酒用のガラス瓶
※発酵を早く進めたい場合はドライイースト小さじ1/5程度を加えてください。
【作り方】
1./梅は黄色くなっているものがベスト。青ければビニール袋に入れて口を結び、冷蔵庫で追熟させる。キズ梅は比較的黄色くなるのが早く傷むのも早いので注意。梅をそっと洗い、傷んだところを包丁で取ってザルにあげて水を切る。
キズ梅を集めて冷蔵庫で追熟させる
2./砂糖水を作る。作る容器によって梅が全部かぶる量がわからないので、水1ℓに対して分量の砂糖を溶かしておく。
3./1を手やへらで軽くつぶしながら熱湯消毒したガラス瓶に入れる。その上から2を注ぐ。梅が水から出ているとカビる原因になるので、必ず全部かぶるまで水を入れる。イーストを入れる場合はここで投入。
4./ふきんなどでフタをして常温で発酵開始。
軽くつぶして砂糖水を注ぐ
5./仕込みから2~3日経つと細かい泡がシュワシュワ出てくる。7~10日ぐらい発酵が続く。時々へらなどでかき混ぜるとだんだん梅が崩れてくる。梅が水の外に出ないように注意。
3日目。泡が出て形が崩れてくる
6./7~10日後ぐらいから表面に酢酸菌膜が発生しはじめる。酢酸菌膜は白くもやっとした薄い膜で、息を吹くと吹き寄せられてしわができるような感じ。この膜が張ってくると酢酸発酵が始まったしるし。膜は酢酸発酵に大事なのでそのままにし、かき混ぜずに静かに発酵を待つ。酢酸発酵はこの膜の下で行われている。
14日目。泡はおさまり形がなくなる
10日目の菌膜。まだ全面に張っていない
14日目の酢酸菌膜。模様ができている
7./2~3ヵ月ぐらいすると、酢酸菌膜は薄くなってなくなっていく。こうなれば酢酸発酵終了。ふきんなどで絞り、圧搾して「梅エキ酢」の出来上がり。発酵途中でコンニャク菌(白いブニャっとした膜のようなもの)が発生したら、取り除いておく。
ふきんで絞り、重石をかけて圧搾
美味しい梅エキ酢が完成!
「柿酢」では水を入れませんが、「梅エキ酢」は水を入れて作ることと、仕込み時期の気温が「柿酢」より高いため、カビの発生の危険性が高くなります。発酵過程でカビを見つけたら少々であれば取り除けますが、あまりに多いようならあきらめが必要です。ただし、酵母には雑菌と闘う力があり、梅が水から出ないように監視すればカビの発生の確率を低くすることができるので、恐れることなく挑戦してみてください。
自作の酢は市販の物より抜群に美味しく、何より愛着がわくと思います。