健康志向が背景に
健康発酵食品として注目されている納豆やチーズについて、今年も消費や市場の拡大が続くという見通しを民間市場調査会社の富士経済(東京)がまとめました。消費者の健康志向や「家飲み」のおつまみ需要などが背景にあるとみられるそうです。
調査は同社が毎年行っているもので、農産加工品(26品目)、畜産加工品(13品目)、水産加工品(20品目)、乳油製品(15品目)の4分野74品目について、メーカーや関連企業、業界団体などへの聞き取りや出荷額などのデータを元にまとめられました。
納豆の効用
納豆(農産加工品)の2017年の市場予測は1217億円。同社によると、2012年頃から品質の高さや他社との違いを打ち出した商品が相次いで発売されるとともに、「ひきわり納豆」の健康効果など納豆の効用がメディアで注目されるようになったことで、市場の拡大が続いています。その後も、納豆の摂取が健康に寄与することがテレビ番組などでたびたび取り上げられたり、和食の良さが見直されるようになったりしたことも消費拡大に影響しているようです。また、近年、生鮮野菜が高騰していることも、代替食品としての納豆の需要を押し上げていると同社はみています。
【納豆の市場規模】(富士経済調べ)
2015年:1196億円
2016年:1216億円(見込み)
2017年:1217億円(予測)
チーズと認知症予防
市販用チーズ(乳油製品)の今年の市場予測は、前年比4%増の1960億円。家庭で食事をする「内食化」傾向が強まっていることや「家飲み」の影響で、一口サイズのベビーチーズやポーションタイプなどが需要を伸ばしていることに加え、カマンベールチーズがアルツハイマー型認知症の予防に有効だとする研究論文が発表されて注目が高まったことなどが市場拡大につながったとみられています。最近は、青かびを使ったブルーチーズが新たな顧客をつかむなど、需要のすそ野は更に広がりそうだといいます。
【市販用チーズの市場規模】(富士経済調べ)
2015年:1792億円
2016年:1882億円(見込み)
2017年:1960億円(予測)
ヨーグルトとはちみつ
はちみつ(市販用。農産加工品)は、ヨーグルトと一緒に食べることの健康効果や、砂糖に代わる自然な甘さなどがメディアで注目されるようになり、今年の市場規模は前年比5%増の215億円と見込まれています。グラノーラとの摂取などが健康意識の高い消費者に広まっていることや、様々な産地や花の蜜の商品が出回るようになり、売り場も拡大していることも好調につながっているようです。
おつまみ缶詰(畜産加工品)は、前年比7%増の44億円となる見通し。焼き鳥や角煮などが「家飲み」用にコンビニエンスストアを中心として消費が増えているそうです。