山形県内陸部、特に村山地方におけるうどんの食べ方の一つで、茹で上がったうどん(主に乾麺)を釜や鍋からすくい上げて、そのまま納豆やサバ缶などで作ったタレで食べるスタイルを“ひっぱりうどん”といいます。
炭焼き人が山ごもりの際に食べていた簡単食が発祥とも言われており、“ひっぱる”の意味は、釜からうどんを引っ張る、納豆の糸をひくからなど諸説あり、“ひきずりうどん”、“ひっぱりあげうどん”、“つっぱりうどん”とも呼ばれています。
レシピは地方や各家庭によって独自に進化し、うどんを冷たくしたり、そうめんに変えたり、生卵や天かす、七味唐辛子、胡麻を入れたり、サバ缶の代わりにツナ缶や鮭缶で代用したりとアレンジはさまざま。
冷やしひっぱりうどんも美味しい
小泉武夫センセイ(当メディア総合監修・東京農業大学名誉教授)も、子供の頃からご飯と缶詰と缶切りを持って通学するほど。サバの水煮缶のおすすめの食べ方として、炊きたての熱いご飯にサバの水煮缶を汁ごとパカッと開け、醤油を回しかける“ぶっかけ飯”、熱いすうどんにサバの水煮缶をぶっかけ大量の七味唐辛子でいただく“サバの水煮缶ぶっかけすうどん”、そして“極旨サバネバひっぱりうどん”を紹介しています。
●小泉武夫流“極旨サバネバひっぱりうどん”レシピ
【材料】
・納豆
・サバの水煮缶
・ネギ
・醤油
・うどん(乾麺)
※全て適量
【作り方】
1./ 納豆を器に入れよく混ぜ粘りをだしたら、サバの水煮を汁ごと入れ身をほぐします。
2./全体がよく混ざったら、刻みネギ、醤油で味を調えればタレの出来上がり。
3./うどんを茹で、鍋から直接うどんを引っ張りだしながらタレにつけてたべれば、サバと納豆がお互いの臭みを消し合い、旨味の相乗効果で癖になる美味しさです。
小泉センセイは食べながらサバと会話をするそうです。
〔参考:「缶詰に愛をこめて」(小泉武夫、朝日新書)〕