天ぷらや和え物など、春の味覚として珍重される山菜のコシアブラから、国の基準値を上回る放射性物質が検出される事例が全国で相次いでいます。山形県は来春から全市町村で検査を行うことを明らかにしました。
同県によると、山梨県富士河口湖町の店舗に9日に陳列された尾花沢市産の自生のコシアブラから、国の基準値(1kgあたり100ベクレル)を超える放射性セシウム(170ベクレル)が検出されました。出荷したJAみちのく村山(山形県村山市)は、4月20日以降に出荷した約400kgを自主回収し、今シーズンの出荷を自粛しました。
これを受けて同県の吉村美栄子知事は定例会見で「消費者の皆さまおよび県民の皆さまに大変ご心配をおかけいたしました」と述べ、これまで県内の一部で行ってきたコシアブラの放射性物質検査を強化し、来シーズンから県内の全35市町村で実施することを明らかにしました。
検査の強化について吉村知事は「十分な安全性の確保が図られるよう、しっかりと取り組んでまいります」と話しました。また、県は尾花沢市の4ヵ所で新たに採取したコシアブラについて検査したところ、いずれも国の基準値を下回ったそうです。
このほか、今月に入って、栃木県では栃木市の道の駅で販売されたコシアブラから基準値を上回る放射性物質が検出されたことが分かったほか、新潟県でも津南町で採取されたコシアブラから基準値を上回る放射性セシウムが検出されました。福島県でも4月下旬、西会津町で採取したコシアブラから基準値を上回る放射性セシウムが検出され、県は出荷の自粛を要請しました。厚生労働省は同県内の49市町村について、野生のコシアブラの出荷を制限しています。