秋といえば、魚卵のシーズン。サケの子を漬けにして楽しむいくら、おせちに欠かせないニシンの子、そして今回のテーマ“からすみ”として親しまれているボラの子などなど、様々な魚類の卵を美味しいかたちに仕込みをする時期の真っ盛りです。
中でも、今回はボラの子の仕込み、“からすみ”の自家製に挑戦です。作る工程そのものはシンプルですが、留意ポイントは2つ、1つは仕上がるまでに日数を要するので仕込み始める前に不在期間がないか?手帳と相談すること、もう1つは惜しみなく塩と日本酒を使うこと。まさに手塩にかけて仕込んだからすみは口福絶品、早速作り方をご紹介して参ります。
自家製“からすみ”の作り方
【材料】(作りやすい分量)
・ボラの卵巣:1腹(約300~400g目安)
・塩:適量
・日本酒:適量
【作り方】
1./ボラの卵巣の表面に枝分かれしながら見える血液をたて塩(水2カップ、塩大さじ1を混ぜたもの)の中で、やさしく押し出すように洗う。枝分かれしている細い血液を真ん中に1本通っている大きな筋に向かって押し出していく。
2./きれいになったら余分な水気をふき、ボラの卵巣がちょうど入るぐらいの容器に塩を敷き詰め、その上にボラの卵巣をおき、さらに塩をかぶせ、容器の蓋をして冷蔵庫へ入れる。
上下左右すべて塩で包むように
3./翌日塩を触って湿り気を感じると思うので、ボラの卵巣と塩をすべて取り出し、新たな塩を使い、2の手順を再度行う。
塩蔵して1日経ったボラの卵巣
4./2と3を数日繰り返し、ボラの卵巣が固くなったら、清潔にした容器にボラの卵巣を戻し入れ、ボラの卵巣が浸かるぐらいに日本酒を入れ、蓋をし、冷蔵庫へ入れる。
塩と同様日本酒に完全に漬ける
5./翌日新しい日本酒と入れ替え、蓋をし、冷蔵庫へ入れる。
6./さらに翌日、日本酒をすこしなめてみて、塩味をすこし感じるぐらいになっていたら、日本酒をすて、ボラの卵巣の水気をふく(なめてみて塩気が強めと感じた場合は、もう数日4と5を繰り返す)。
7./清潔にしたザルや網などに清潔なふきんをしき、6のボラの卵巣をのせ、数日間風通しのよいところで天日干しをする(夜は冷蔵庫に入れる)。
8./触ってみて固くなってきたら出来上がり。からすみを削ったりして使いたい場合はさらに数日天日干しをし、固めに仕上げる方が使いやすい。
つやっとした仕上がりの表面
出来上がったからすみは、スライスしてそのままシンプルにいただくのはテッパンの食べ方ですが、このほか様々な料理でも活用し楽しめるからすみ。次回はからすみを使ったお料理をご紹介していきます。
※文頭のボラの卵巣は、工程説明で使用しているボラの卵巣とは異なる個体です。
奥田ここ
国内外各地の市場を「師」とあおぎ、様々なスタイルでの和食及びイタリア家庭料理の料理教室を主宰。各種媒体・広告へのレシピ提供や食材産地の取材および食に関する企画・執筆、オーダーメイド仕様の出張料理など、国内外問わず活動中。素材の味を大切にし無駄なく使い切る献立作りを心掛けている。
kokookuda(Instagram)
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