1年中でもっとも寒さが厳しいといわれる今の時期、風邪には要注意です。一方、すでに引いてしまったなら、養生あるのみ。症状によって治し方はいろいろですが、基本は、体を温め、ゆっくり休み、しっかり栄養を摂る。
そして、風邪のときの「栄養」といったら、「お粥」です。
お粥は、じつは美容食?
お粥は、胃腸に負担をかけずに、水分と栄養分を体に届けてくれる優れもの。体を温める効果もあるため、血液やリンパ液の流れがよくなり、免疫力アップにつながります。
まさに風邪で弱った体に効果抜群の食事なのです。
こうした「お粥」の持つパワーは、なんと曹洞宗の開祖、道元禅師も注目していました。食事を頂く際の雲水(修行僧)の心構えを記したその著書『赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)』には、「粥有十利」(しゅうゆうじり)として、お粥の効能が10挙げられています。
どんな効能なのかというと……、
<粥有十利>
1.色 (肌の色艶をよくする)
2.力 (気力が増す)
3.寿 (寿命が延びる)
4.楽 (食べ過ぎになることがなく、体が楽になる)
5.詞清辯 (血流がよくなり頭が冴え、言葉もなめらかになる)
6.宿食除 (胸やけをしない)
7.風除 (風邪を引かない)
8.飢消 (飢えを満たす)
9.渇消 (喉の渇きを潤す)
10.大小便調適 (便通がよくなる)
お粥は、お腹を満たし、体の活力を取り戻してくれるだけでなく、美肌やダイエット、脳の活性化、便秘解消などの効果もあるというわけです。風邪のときに限らず、美容やアンチエイジングの食べ物として、常食したいところですね。
ちなみに、道元禅師が開いた永平寺(福井県)では、365日、朝食はお粥なのだとか。
ただし、お粥の消化がいくらいいといっても、そのままかきこむのは避けたいところ。胃腸に負担をかけてしまいます。風邪で弱っているときはなおさらです。ゆっくり嚙んで胃腸に届けてあげましょう。
永平寺流・お粥レシピ
【材料】
・玄米:0.5合(約75g)
・水:1000cc
・塩:ひとつまみ
【作り方】
1./さっと研いだ玄米を鍋に入れて、分量の水に一晩つける。
2./1に塩を加え、強火にかける
3./沸騰したら、軽くかきまぜ、蓋を少しずらして、弱火で50分炊く。
4./仕上げに、5分ほど蒸らす。
[参考:「お坊さんにまなぶ こころが調う食の作法」(星覚、ディスカヴァー・トゥエンティワン)]