それぞれ発酵に欠かせない
「麹(こうじ)」、「酵母(こうぼ)」、「酵素(こうそ)」は日頃からよく聞く言葉です。
しかし、それぞれの意味や役割について、すぐに答えられる人は少ないのではないでしょうか。麹は「米の発酵物」、酵母は「発酵のための菌」、酵素は「発酵に使われる道具」です。
▼「麹」
麹は、米や穀物、豆の表面に麹菌を生育させたものです。使う穀物によって、米麹や豆麹、麦麹などとよばれます。麹菌は、麹を製造するためのカビの一種です。
▼「酵母」
「酵母」は、別名イーストと呼ばれます。主にアルコール発酵する菌のこと。「母」は、ものごとの「おおもと」になるものの意味です。
つまり、発酵のおおもと(母)になる菌→発酵母→酵母となります。酵母は、清酒、ビール、ワインを造るときのアルコール発酵だけでなく、パン製造にも使われます。
▼「酵素」
「酵素」は、分解作用などの働きを持ったタンパク質を指します。英語で酵素はenzymeといいます。En→中、zyme→(発)酵母を示しています。つまり酵母の中に入っているものの意味になります。しかし「酵素」を日本語に訳すときに発酵の素と訳され、(発)酵母の→酵素となりました。科学の進歩に伴って、酵母以外の生物やヒトからも見つかっています。また、発酵以外の用途でも使われています。
意外な酵素の用途
例えば、肉の柔らかくなる唐揚げ粉や胃腸薬、歯磨き粉、洗剤、または清涼飲料などの糖類の製造など、その用途は無限大といえます。
デンプンを分解するために使われるのがデンプン分解酵素、お肉を柔らかくするのが、タンパク質分解酵素となり、これらは「のこぎり」の役割をします。また、酵母の中には、アルコールをつくるための酵素も存在します。
お酒の発酵では、「麹」の中の酵素が米のデンプンを分解して、「酵母」の中でアルコールを作る「酵素」がアルコールに変換します。
金内誠(宮城大学教授)
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