戦後の沖縄に何が起こったのか
歴史をひも解くと、沖縄は昭和二〇年にアメリカに統治されました。第二次世界大戦が終わってしばらくすると、中国やソ連が攻めてくることを恐れたアメリカは、極東に基地が必要だと考えました。敗戦国であった日本は、我々も守ってもらえるならとアメリカの要望を受け入れ、沖縄全島を差し出したのです。統治は昭和四七年まで、三〇年近く続きました。その間、何が起こったでしょうか。
今では一三〇万人くらいに増えましたが、昭和二〇年頃の沖縄の人口は八〇万人くらいです。そこに、基地を造るための工兵や第七艦隊の戦闘員など一五〜一六万人のアメリカ兵がやってきました。沖縄にいる人の三分の一はアメリカ人になったのです。
アメリカ文化に染まる沖縄
私は、返還前の昭和四四年にビザを取って初めて沖縄へ行きました。東京から特急さくらに乗り、長崎で乗り換えて鹿児島まで行き、船に乗って奄美大島経由で那覇に着きました。泡盛(あわもり)の調査を行うために一週間滞在したのですが、入国審査を終えて上陸したときの驚きは今でも忘れません。八百屋も酒屋もクリーニング屋も、店はほとんど横文字でした。そして、やたらと多いのがステーキハウスで、アメリカ本土から大量のアメリカンビーフが送られていたのです。アメリカンビーフに代表されるアメリカ文化が、沖縄をすっかり変えていました。
小泉武夫