最初に、日本人が健康で元気に暮らすためには、何を食べればいいかという話からしましょう。これは日本人に限りませんが、どの民族にも長い歴史を通じて食べてきた「民族食」というものがあります。自分たちの民族食を食べることが、その民族のためにはいちばんいいことなのです。日本人の場合、それは「和食」になります。
和食をいろいろ調べてみると、日本人は8つのものしか食べてこなかったことが分かります。それが、全部体にも心にも健康的な食べ物なのです。ではひとつずつ説明していきましょう。
1、根茎(こんけい)類
土の中で生長するものです。ごぼう、大根、自然薯(じねんじょ)、サトイモ、サツマイモなどが代表的なものです。ネギも根茎類に含まれます。
2、葉菜(ようさい)類
いわゆる野菜類です。ホウレンソウ、小松菜、高菜など、いっぱいあります。これを朝昼晩、1年中食べていました。昔はおじいちゃんおばあちゃんたちは、白菜漬けを食べながら、囲炉裏端(いろりばた)で1日中お茶を飲んでいたわけです。
3、青果
青果というとくだもののことです。が、それだけではありません。青果の「果」はくだものですが、「青」は「漿(しょう)」の書き換えです。これは「みずみずしい」という意味で、具体的にはきゅうりやトマトなどの水分の多い野菜類を指します。ですから、ここで言う青果とは、きゅうりやトマトやくだもののことです。
4、大豆
豆にはいろいろな種類がありますが、とりわけ大豆です。
5、山菜(さんさい)、きのこ
この2つが並ぶのは、当然季節の関係です。春は山菜、秋はきのこを採って食べてきました。
6、海藻
これは、ものすごく食べました。昆布でも出汁(だし)をとりワカメは味噌汁やおすましの具になり、ひじきは煮て食べるという具合に、日本人は世界1海藻を食べている民族なのです。
7、米
ここでは穀物という意味で、代表格の米を挙げますが、麦も食べていました。
8、魚(肉・卵)
動物性タンパク質として魚を挙げておきました。また、カッコして「肉」と「卵」を入れておきました。魚に比べて量的には比較にならないくらいわずかですが、江戸時代以前の日本人も肉や卵を少しは食べていたからです。
小泉武夫