自分の力でやっつける
さて、この免疫とは何かということを、簡単に説明しておきます。この問題は難しく語る専門家が多いですが、私の説明は単純明快です。免疫とは、「自分の体を蝕(むしば)むものを、自分の力でやっつけるもの」です。蝕むものには、内的要因と外的要因の2種類あります。内的要因の代表例ががん。外的要因の代表例がウイルスです。
免疫のことを理解するために、一番わかりやすい例として赤ちゃんのことを思い浮かべてください。赤ちゃんは、生まれてから7ヶ月くらいまでは大病をしません。これは、免疫の力に守られているからです。赤ちゃんを守る免疫には、2つの種類があります。1つは、お母さんのおっぱいに含まれるラクトフェリンという物質。これは強力な免疫剤です。
新生細胞とラクトフェリン
それと、赤ちゃんの体重は毎日少しずつ増えていますが、増えているとはどういうことかと言いますと、新しい細胞ができているということです。これを新生細胞といいます。新生細胞もまた、強い免疫力を持っています。
もしも赤ちゃんに、ラクトフェリンと新生細胞という2つの免疫がなかったら、赤ちゃんが生き抜くことはとても難しいでしょう。特に日本は、世界一はしかウイルスが多い国なので、赤ちゃんに免疫力がなければ死に至ることさえあるでしょう。WHO(世界保健機関)も日本に渡航する外国人は全員はしかウイルスのワクチン接種を義務づけているくらいですから、赤ちゃんはひとたまりもありません。また、インフルエンザに罹っても死の危険にさらされます。これらの外敵から赤ちゃんを守っているのが免疫の力なのです。
小泉武夫