長野県諏訪市のご当地グルメとして人気が高まっているのが「みそ天丼」です。天丼といえば、醤油ベースのつゆで味わうのが一般的ですが、「信州諏訪みそ天丼」は味噌ダレでいただきます。てんぷらと味噌の組み合わせは意外に合う!と好評で、加盟店ごとにオリジナリティがあり、食べ歩きも楽しめます。
地元の味噌にこだわって「みそ天丼」誕生
そもそも始まりは15年ほど前、地元の飲食店が中心市街地活性化のために諏訪の名物料理を創ろうと、話し合ったのがきっかけでした。旗振り役を務めたのは「割烹レストラン いずみ屋」社長の宮坂友子さんで、現・信州諏訪みそ天丼会の会長です。
宮坂友子さん
長野県は味噌の生産量日本一、中でも諏訪地域は寒暖差が大きい気候で、味噌づくりに適した微生物が育ち、大小の味噌蔵が数多く集まっています。そして、諏訪の代表的食材といえば、ワカサギ、川エビ、フキノトウやコシアブラなどの山菜…。
「これらを一緒に食すには、てんぷらにして揚げればいい。味付けには、地元の味噌を使ったらどうだろう?」そんな発想から「みそ天丼」は生まれ、宮坂さんは飲食店に参加を呼びかけました。
みそ天丼加盟店一覧
加盟店の条件は、「地元の味噌を使う」、「地元の食材を1つ以上使う」―この2つだけ。2005年から提供が始まり、現在は市内の食事処のほか、市役所や健康増進施設の食堂、高速道路のサービスエリアなど13店舗が加盟し、「みそ天丼」ののぼり旗を店頭に掲げています。
店ごとに使う味噌や味付けを工夫
いずみ屋のみそ天丼(お吸い物とごま豆腐付き)は、投網に見立てた素揚げそばにワカサギ、川エビ、季節の山菜などのてんぷら、野沢菜漬けと玉ねぎ入りのかき揚げが、どんぶりいっぱいに盛られます。味噌ダレのポイントを宮坂さんに伺いました。
「当店では、鍋で味噌をこがして香ばしさを出し、みりん、酒、醤油、出汁を加えて甘めでコクのあるタレに仕上げました。食材がタレでびしょびしょしないように、片栗粉で少々とろみをつけて、味噌ダレをてんぷらに乗せる感じにしています」
いずみ屋のみそ天丼(950円)
加盟店によって使う味噌や味付けが異なり、食材も工夫してオリジナリティを打ち出しているのも、人気の要因です。
そば店が供する「みそ天丼」は自家製のそばつゆを使って仕込んだ味噌ダレが自慢。諏訪市役所の食堂では田楽みそをベースにし、てんぷらが大きく600円という値段が好評です。健康増進施設「すわっこランド」では、味噌汁・漬物付きで762キロカロリーに抑えた健康志向のどんぶりに…などなど、徐々に地域に浸透し、食べ歩きをする人も多くなりました。
「もともとは地元の人たちに地域の食材に関心をもってもらい、食から地域を元気にしよう、と始めましたが、観光客の方々からも注目されるようになってきました。食がお客さんと地域をつなげていくきっかけになればいいと思っています」と宮坂さんは話しています。
割烹レストラン いずみ屋
諏訪を訪れた際にはぜひ味わってみてください。家庭でも味噌ダレにこだわっててんぷらを食してみてはいかがでしょう。