フキノトウの苦みで体を目覚めさせよう
フキ味噌、ばっけ味噌、ばんけ味噌などとも呼ばれるフキノトウ味噌は、春の訪れを楽しむおかず味噌です。
春まっさきに大地からむくむくと顔を出すフキノトウ。春の山菜の苦みには、冬の間に停滞した体内の老廃物を排出する働きがあると考えられてきました。栄養学的にも、フキノトウはカリウムや鉄、βカロテン、ビタミンKのほか、フキノール酸やケンフェロールなどの抗酸化物質を含有する食材です。
フキノトウの苦みは、春の生命力そのもの。フキノトウを食べて体を目覚めさせましょう。
おいしい味噌+米麹で仕込む!
おかず味噌の味をきめるのは、ずばり味噌。お気に入りのおいしい味噌で仕込むのが成功のポイントです。また、今回は米麹を使ったレシピを紹介しています。麹を加えることで、麹の旨味が加わるのはもちろん、発酵熟成にともなって甘みが引き立ち、保存性もアップ。
フキノトウ味噌は、炊き立てのご飯に乗せるほか、おにぎりの具や焼きおにぎりに塗ったりと、ごはんとの相性がバツグン。ほかにも、田楽やふろふき大根など、味噌をダイレクトに味わう料理に。さらに肉や魚とも相性がよいので、ここでは焼いたサワラと味わうレシピを紹介します。
【材料(できあがり約120g)】
・フキノトウ:100g
・味噌:70g
・酒:大さじ1
・みりん:大さじ2
・砂糖:大さじ1/2
・サラダ油:大さじ1
・米麹(生):10g ※乾燥麹の場合は戻しておく
フキノトウ味噌の材料
【作り方】
1./味噌、酒、みりんを合わせて混ぜ、味噌だれを作っておく。
あらかじめ、味噌をゆるめておく
2./米麹は粗く刻む。
麹を刻むと味噌となじみやすい
3./フキノトウはさっと洗って汚れを落とし、外側の黒く変色した皮はむき、黒い切り口は包丁で切って取り除き、水気を切っておく。フキノトウをみじん切りにする。フキノトウのアクが気になるときは、洗ったあと熱湯でさっと色が変わるくらいゆで、さらに水にさらしてから水気を切る。生で刻んだ場合は、切ったあとあっという間にアクで色が黒くなるので、すばやく刻み、すぐ4に進むこと。
色が変わりやすいので、すばやく刻む
4./鍋に油を入れて熱し、3のフキノトウを炒める。1~2分、混ぜながらしんなりするくらい炒める。
フキノトウ全体に油が回るように炒める
5./4に1の味噌だれを入れて全体をよく混ぜる。
味噌だれを加えて炒める
6./砂糖を加え、木ベラで混ぜながらぽってりするまで弱めの中火で加熱して火を止める。
砂糖を入れて混ぜ、さらに炒める
7./粗熱がとれたら1の米麹を混ぜる。
刻んだ米麹と合わせる
8./すぐに食べられるが、1週間ほどすると麹が落ち着く。時間の経過とともに麹の旨味と甘さが引き立つ。
できあがり。保存は冷蔵で約1~2か月。
●サワラのフキノトウ味噌焼き(フキノトウ味噌を使ったレシピ)
たんぱくな味のサワラはフキノトウ味噌とよく合う。サワラのほかに、真鯛やサケなどでもおいしい。
【材料(2人分)】
・サワラ:2切れ
・しょうゆ:大さじ1
・みりん:大さじ1
・フキノトウ味噌:大さじ2
・白髪ネギ(好みで):適宜
【作り方】
1./サワラはしょうゆとみりんを合わせたものに20分ほど漬ける。
2./サワラの水気をキッチンペーパーでふきとり、グリルで表裏を焼いて火を通す。
3./サワラの上の面にフキノトウ味噌を塗り、グリルで表面を軽くあぶる。
4./器に盛り、好みで白髪ネギを添える。
撮影:信長江美
文・レシピ:オザワエイコ
手作り調味料研究家。編集者。自家製調味料の仕込み教室「かもしラボ」主宰。著書に『だからつくる調味料』(ブロンズ新社)がある。