玄米は白米に比べてマグネシウムやカルシウムをはじめとするミネラル類、ビタミンB1やビタミンE、食物繊維などの栄養素を多く含むため、健康志向の高まりにつれて注目されてきました。発芽玄米は、玄米をわずかに発芽させたもので、発芽するとこれらの栄養素が玄米の時よりもはるかに吸収されやすい状態になります。
また、発芽するときに作用する酵素のはたらきで、糖質が分解されて甘みが増え、たんぱく質が分解されて旨み成分である「アミノ酸」が増えます。
さらに発芽玄米には、ギャバ(GABA)と呼ばれる有効成分が白米の10倍(玄米の3倍)も含まれるようになります。ギャバとは、γアミノ酪酸というアミノ酸のことで、ストレスの軽減、不安の緩和、高血圧の改善や血糖値を低下させる効果があります。
今回と次回で、この発芽玄米を使った米麹を作ります。玄米で作る麹は白米麹に比べると独特の香りとほのかな苦み、玄米独特のコクがある個性的な麹になります。また、発芽玄米麹で味噌を作ると、普通の米麹で作るものより早く発酵が進み、3ヵ月ほどで食べられるようになります。今回はまず麹のベースになる発芽玄米を作ります。
発芽玄米の作り方
玄米=植物の種なので、高温に長くさらされていたり、長期間保存されていたなど環境が悪いとまったく発芽しないものもあります。何回手順通りやってもまったく発芽しなかった場合は、なるべく生産年月日の新しい、別の玄米を購入しみてください。ただ、発芽しない玄米はそれほど多くないので、気軽にトライしてください。
発芽玄米は玄米より炊きやすく、このまま炊いてご飯にしても美味しく食べられます(白米と同じ炊き方でOK)。
【作り方】
1./玄米を2、3回研いでボウルに入れ、35℃ぐらいのぬるま湯をたっぷり入れる。
※麹を作る目的の場合は、米の表面に傷が付くようにぎゅっぎゅっと研いだ方が麹菌が付きやすくなる。
2./半日経ったら一度水を捨て、再度35℃ぐらいのぬるま湯をたっぷり入れる。
3./最初に浸水させてから丸1日経ったらザルにあけて水を切る。
4/固く絞った濡れタオルを3にかけ、放置する。
十分浸水させて水を切る
5./気温により、約半日~2日で発芽して出来上がり。10粒ぐらい取ってみて、何粒かが胚芽がふくらんで、とんがっているようならOK。写真右の2つは発芽しているが、左2つも発芽準備状態になっている。あまり発芽させすぎると味が落ちるので、この程度がベスト。
※発芽には浸水させたままの方法もあるが、気温が高くなってくると水が臭くなることもあるので、この水切り発芽法がおすすめ。
右の2つが発芽している状態
次回はこの発芽玄米を使って発芽玄米麹を作ります。