青ユズと青唐辛子で仕込むユズこしょうは、すがすがしい香りと辛さがクセになる味。もともとユズの産地である九州や四国を中心に誕生した調味料ですが、その歴史は比較的浅く、50~60年ほどといわれています。「こしょう」といっても胡椒が入っているわけではなく、もともと九州地方では唐辛子のことを「こしょう」と呼んでいたため、ユズこしょうの名前がつきました。
青ユズと青唐辛子で作るのが基本ですが、青ユズと赤唐辛子、黄ユズと赤唐辛子で仕込んでもおいしくできます。
麹を入れることで旨みがグンとアップ!
ユズこしょうは、ユズと唐辛子、塩だけで仕込むのが一般的ですが、ここで紹介するのは、米麹を加えた「発酵ユズこしょう」。
麹を加えることで旨みがアップ。時間の経過とともに変化していく味わいも楽しみのひとつです。発酵熟成の過程で、辛さがマイルドになり、複雑な味と風味が醸し出されます。
また、麹を加えることで保存性がアップするのもうれしいところ。冷蔵で約1年、保存できます。
唐辛子の種類は?
唐辛子は「鷹の爪」をの使うのが一般的ですが、どの唐辛子を使ってもよいでしょう。鷹の爪は辛い唐辛子の仲間なので、中辛や小辛の品種とブレンドしたり、思いっきり辛くしたい人は、激辛唐辛子を使っても。
唐辛子の量は、レシピの分量を参考にしながら、好みで加減してください。乾燥唐辛子や乾燥米麹を使う場合は、水で戻してから使います。
辛さを調節したり、麹や塩を増減したり。味を見ながら、自分好みの味に仕上げましょう。
【材料】(100mlビン1個分)
青ユズ:約10個(皮だけで約30g)
青唐辛子(ヘタつき):60g(ヘタと種を除いて約30g=ユズと同量)
米麹:15g(ユズの半量)
塩:15g(ユズの半量)
ゆず果汁:3~5ml
米麹と塩はユズの半量を使用する
【作り方】
1./ユズは緑の皮の部分だけをおろし器ですりおろす。または、皮の部分を包丁で切り取り、みじん切りにする。このとき、白い部分が入ると、苦みやカビの原因になるので、できるだけ入れないようにすること。残ったユズの実は、果汁をしぼっておく。
緑の皮の部分だけをすりおろす
2./青唐辛子はヘタを取り、たて半分に切って種を除く。辛くしたいときは、種を入れておいてもよいが、白っぽい仕上がりになる。
※唐辛子を切るときは、素手でさわると危険なので、必ずビニール手袋をして作業すること。
必ずビニール手袋をして作業する
3./2の唐辛子をフードプロセッサーにかける。または、包丁でみじん切りにする。唐辛子が目に入ったり、揮発する成分を吸い込むと危険なので注意。作業時はマスクやゴーグルをしておくと安心。
マスクなどをして作業すると安心
4./左がすりおろしたユズ皮。右がみじん切りの青唐辛子。ユズ皮は包丁で切るより、すりおろしたほうがなめらかな仕上がりになる。
下準備後のユズ皮と青唐辛子
5./ユズ皮、青唐辛子、塩、米麹を合わせて、すり鉢で好みのなめらかさになるまですり混ぜる。
なめらかになるまですり混ぜる
6./ユズのしぼり汁を加えて、さらにしっとりするまで混ぜて、できあがり。清潔なビンなどにみっちり空気が入らないように詰めて冷蔵保存。すぐ使えるが、1ヵ月後くらいから旨みが増し、辛みもまろやかになっていく。保存は冷蔵で約1年。
ユズのしぼり汁を加える
出来上がり。保存は冷蔵で約1年
ソテーした豚肉や鶏肉、白見魚に添えると絶品。もちろん鍋のお供にも!
*皮を使ったあとのゆずを利用!! 自家製ユズぽん酢の作り方
ユズこしょうを作ったあとのユズ果汁を使って、ぽん酢を作ってみましょう。自家製ぽん酢はやみつきになるおいしさで、一度、この味を知ったら、もう市販品には戻れません。ユズがないときは、レシピのユズをレモンなどほかのカンキツ果汁に替えて作ります。
自家製ユズぽん酢
【材料】(約250ml分)
ユズ果汁:100ml
醤油:100ml
酢:大さじ1
みりん:大さじ1
酒:大さじ1
昆布:5cm角
鰹節:ひとつかみ(約5g)
【作り方】
1./鍋に、醤油、酢、みりん、酒、昆布を合わせ、果汁を加える。ユズ果汁が分量に足りない場合は、レモン汁など、ほかのカンキツ果汁を足すとよい。
鍋に鰹節以外の材料を合わせる
2./中火で加熱し、沸騰直前に昆布を取り出し、鰹節を加えてひと煮立ちさせ、そのまま冷ます。ザルや布巾でこして、できあがり。清潔なビンなどに入れて冷蔵保存。すぐに使えるが、1ヵ月くらいおくとまろやかに熟成する。保存は冷蔵で約3ヵ月。
鰹節を加えてひと煮立ち
撮影:信長江美
文・レシピ:オザワエイコ/手作り調味料研究家。編集者。自家製調味料の仕込み教室「かもしラボ」主宰。著書に『だからつくる調味料』(ブロンズ新社)がある。