2種類の裸麦と小麦、さらに5種類の大豆をブレンド。その他、小豆、金時豆、花豆、インゲン、うずら豆、虎豆、紫花豆、白花豆、黒花豆を加える。中にはツタンカーメンなどの変わり種も含め、総計16種類もの豆からつくられた新タイプの醤油が誕生した。その名も「新醤(あらびしお)」。すべての原材料は自然農法、有機農法、無肥料栽培で、丁寧に育てられたものばかりだ。
自社の自然農園で穫れた様々な豆類を眺めて、「昔から醤油は大豆と麦、塩と水でつくるという固定概念のようなものがありますが、その縛りを解いて他の豆を混ぜたらどうなるか、ふと思い立ったのが始まりです」と、製造販売する「まほろば」代表・宮下周平さんが誕生のきっかけを話してくれた。
こだわりはこれだけでは終わらない。塩は世界中の海水塩、岩塩、湖水塩、焼塩など24種類をブレンドしたオリジナル「七五三(なごみ)塩」を贅沢に使用。また、肝心の水は、栗駒山系の伏流水に、これまた、世界の専門家を驚愕させたという浄活水器「まほろばエリクサーII」を通す、という徹底ぶり。
造り方にも妥協を許さない。秋田湯沢市にある江戸時代から続く老舗蔵元・石孫本店(国の文化財に指定された蔵を持つ)の職人が、麦を石炭の火で炒り、稲わらを炭化させて熱を保ち、夜中に何度も起きて石造りの室で麹を醸すなど、今ではほとんど見かけることのない昔ながらの手仕事で仕込む。樽は創業以来150年ものあいだ使われ続けてきた天然杉の古樽で、ゆっくり二夏を越し、じっくりと熟成。こうして唯一無二のこだわりが貫かれた、独創的かつ古くして新しい醤油が誕生したのだ。
立ち上がる香りは長く、複雑な味わいの中にもスッキリとした芯が通り、上品で馥郁な旨味は例えようもない。しかも、火入れしない生搾りは鮮烈で濃密。「醤油というより、新しい調味料という感覚」と宮下さん。隠し調味料として、料理の引き立て役には持って来いだ。
宮下さんにおすすめの食べ方を聞いてみると、「バター醤油ごはん」だという。まほろばのある北海道では、昔からどこの家庭でも食べられてきた定番ごはんで、熱々のごはんに、一片のバターを載せて「新醤」を滴々たらす。病み付きになること受け合いなのだそう。
勿論、刺身醤油として使えば、素材の持ち味を一層際立たせる強さに驚く。シンプルにストレートに、「新醤」を堪能するのが、何と言っても一番のようだ。
●古式本醸造「新醤(あらびしお)」
100ml……1080円(本体価格1,000円+税) ※醤油さし代わりにどうぞ!
300ml……1620円(本体価格1,500円+税)
500ml……2160円(本体価格2,000円+税)
※宮下さんの『続・倭詩』が12月25日に上梓されます。「新醤」誕生の顛末「へうげ味噌・へうげ醤由来記」も掲載されていますので、併せてご覧ください。