老舗の酒蔵に新たな銘酒が!
天保4(1833)年創業の越後の老舗・久須美酒造のラインナップに新たな銘酒が加わる。久須美酒造といえば、幻の酒米「亀の尾」を復活させ、漫画「夏子の酒」のモチーフとなったことでも知られる酒蔵だ。満を持して登場するのは大吟醸「七代目」。平成10年から、七代目社長(当時専務)と若い蔵人たちが、「野に咲く花のような酒」を目標に掲げ、仕込みを続けてきた。
一番苦労し、また学ぶことが多かったのは、“酒造りの要”である麹づくりだったという。「古より『一麹・二酛(もと)・三造り』と言われています。私たちは、農学博士・戸塚昭先生の指導のもと、現在は失われつつある『麹蓋』の高度な職人技を習得し、酒造りに生かしました。蓋麹法ともいい、高温多湿な室の中で木製の盆状の麹蓋に麹米を盛り、手で混ぜるなどしながら麹を作る方法で、手がかかりますが、麹の品質がよくなります。改めて先達の高度な匠の技や、麹(アスペルギルス・オリゼ)を利用する日本人の驚くべき知恵にふれ、ただただ敬服しました」(久須美酒造代表取締役社長・久須美賢和さん)
若き蔵人たちの夢の酒
「七代目」のプロジェクトには、一度絶やすと再生の難しい伝統の技の継承の意味もあった。若い蔵人たちは熟練の蔵人の協力を仰ぎ、理想的な麹づくりの鍛錬を積んできた。そして、今冬初めて若い蔵人たちが仕込みにチャレンジ。仕込みに使われたのは、酒米の王者とも言うべき山田錦と新潟の名水、白壁の酒蔵で一夏じっくり熟成され、大吟醸「七代目」が生まれた。
気になる味は「立ち上がりがよく、ふくらみがあり、切れのよい酒です」(久須美さん)次代を担う蔵人たちの熱意から生まれた銘酒。旨いつまみとともに、じっくりと味わってみてはいかが。
大吟醸「七代目」
・原料米:山田錦(兵庫県産)
・仕込水:新潟県名水指定の自家湧水
・精米歩合:40%
・アルコール度数:16
・720ml:3,600円(税抜き、化粧箱入り)
取材協力・写真提供/久須美酒造株式会社(http://www.kamenoo.jp/)