【小泉武夫が通う店】札幌の「ふじ寿司」のこと

カテゴリー:食情報 投稿日:2016.05.31

第三店群のイチオシ

我が輩は大変な喰いしん坊である。これまで日本各地は勿論、世界各国を食べ歩いてきて、その感想などを含め、日本経済新聞に『食あれば楽あり』を連載中で、すでに一度の休載もなく24年目に入っている。

我が輩の大好きな食べものを日本の伝統食から挙げてみると、味噌汁、納豆ごはん、鰯の丸干し、塩鮭、漬物といった朝食定番もの、刺身、天麩羅、煮魚、焼魚といった夜の酒の肴の定番ものあたりである。

外に出て行って食べるものの大好物は蕎麦、ライスカレー、タンメン、ドジョウの丸煮(駒形どぜう)、鯨料理、鰻重、とんかつ、親子丼、天丼、かつ丼、チャーハンなどである。そして、何と言っても絶対大好物は、やはり日本人の誰もが好きな寿司である。従って行きつけの寿司屋は全国に何軒かあって、値段は高いがさすが、という第一店群、値段はそこそこだけれどもとっても美味しい、という第二店群、こんなに美味しいのに、そんな値段でいいの、という第三店群に分けている。いいことがあったときとか、大切な人と行くときは第一店群、ほっとしたいときに一人で行って寿司の真髄を楽しみたいときには第二店群、肩が凝らずに思う存分美味しい寿司を好きなネタで握ってもらって満足して帰りたいときは第三店群、と分けて通っている。

この第三店群の中では、札幌市にある「ふじ寿司」が大いに気に入っている。最特上ずし10カン2160円也。大トロ、ヒラメのような白身、帆立、カニ、ウニ、イクラ、数の子、エビ、紅鮭、北寄貝で、どのネタも新鮮で、東京の名店だとおそらく5000円以上はとられるだろう。並7カンは972円というから凄い。

 

ご主人の人柄と美味しい寿司

またこの店の一品料理が実にいい。鰻、天麩羅、寄鍋、キンキ鍋、ふぐ鍋などどれも本当にうまい。特に女性におすすめしたいのがこの店自慢の「北海巻」という太巻き寿司だ。な、なんとウニ、イクラ、イカ、とびっ子、タコ、マグロ、紅鮭、はまち、エビ、玉子焼、帆立の11種のネタを寿司飯に巻き入れ、海苔で太巻きした逸品である。ズシリと重く長いこの美味しい太巻きが、1944円というから土産にしても豪快だ。全ての料金には消費税が含まれているというから正直。

fujisushi_4

北海巻

 

「えっ、なんだ、寿司屋に鰻がある? 天麩羅もある?」と思う人もいるだろうが、それが全て満足できる美味しさであり、安いのだから文句はない。星幾つとかいった一流の寿司屋は、板台がぶ厚い白檜の一枚台で、店内は広く、ゆったりとしていて、粋で高級な雰囲気を醸しているところが多いが、この「ふじ寿司」は昔ながらの雰囲気を持った店である。はじめて行く人は、店の外観を見て「えっ、これが小泉先生の来る店なの?」と思う人がきっと少なくないが、寿司は人がつくるのであって店の形がつくるのではない。札幌には名店の寿司屋は何軒かあって、値段は高いが美味しい店もある。しかし、先般行ってみた星幾つかという店はてんで駄目だった。だから、翌日、口直しに「ふじ寿司」に行ってみたら、実に美味しくて安かった。ご主人の遠藤哲さんの人柄が全てのような気がする。

小泉武夫

fujisushi_2

ご主人の遠藤哲さん

 

【ふじ寿司】

fujisushi_3

住所:北海道札幌市西区八軒5条西2丁目4-16

TEL:011-643-4468

営業時間:11:00〜14:00、16:30〜22:00

定休日:木曜日(祝・祭日の場合は営業)

 

※価格は2016年5月31日現在

 

  •                    

\  この記事をSNSでシェアしよう!  /

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう!
小泉武夫 食マガジンの最新情報を毎日お届け

この記事を書いた人

編集部
「丸ごと小泉武夫 食 マガジン」は「食」に特化した情報サイトです。 発酵食を中心とした情報を発信していきます。

あわせて読みたい