茨城県は日本でも有数の農業、漁業県。レンコン、ハクサイ、ネギ、トウモロコシなど農業産出額は全国第2位。漁業は全国第6位の漁獲量(2013年データ)を誇っている。茨城県は延長190kmにおよぶ海岸線を有し、なかでも南東部にあたる鹿島灘(大洗から利根川河口までの鹿島浦沖合いのこと)は、遠浅でかつ寒流と暖流が出合う好漁場。かつてこの地では地引網漁が盛んだった(現在でも観光地引網を体験できる)。
ごさい漬け(別名・塩辛こうこ)とは、鹿島灘沿岸地方(鹿島・鉾田)に伝わる冬の郷土料理。例年、11月頃になると房総沖まで下って来たサンマが大量に獲れる。近くの漁港に水揚げされた新鮮で安価なサンマは、昔から貴重なタンパク源だった(沿岸漁業の拠点となる漁港は大津、久慈、磯崎、那珂湊、波崎など)。
ごさい漬けは生サンマ(イワシやサケが使われることもある)と大根を大量に塩漬けして、冬の間の保存食として、各家庭で作られてきた。年中作られているわけではなく、北西の季節風が強く吹く11月下旬から2月頃までが最盛期(お正月のおせち料理の一品としても供されてきた)。この地域では発酵食品のごさい漬けで厳しい冬を乗り越えてきた。
今回は、水戸市在住の田口稔さん自家製のごさい漬けを公開してもらった。
【材料】
生サンマま/1箱(25匹前後)5kg
塩/1kg
大根/6~7本
唐辛子/少々
【作り方】
1./サンマの頭と内臓を取り、身を4~5等分に切り残っている内臓を取り除ききれいに洗う
2./水分を切り漬物桶に、塩1kgと漬ける。(重石5~6kg前後)
3./2週間経ったら2回水洗いする
4./水を切った後に新鮮な大根6~7本を2.5cm位の輪切りにし4等分する
※昔は大根を鉈でそぎ落とすように切るとひび割れがして漬け汁が大根に滲み美味しいとされていたが今はほとんど使われてない。
5./きれいに洗った漬物桶に大根、サンマを交互に入れながら少量の塩をまぶす
6./最後に唐辛子2~3本を入れ漬ける(重石15kg前後)
7./2週間経ったら食べられる
※最初に食べる前に味が均一になるよう上下かき混ぜるとよい。
※漬け汁から取出したサンマと大根は水洗い等せずそのまま器に盛る。
※サンマの骨は取り除かずそのまま食べられる。
上記のような作り方だが、1と5で成功か失敗が決まるという。1はあまり洗いすぎるとサンマの味と塩分がなくなり味がさっぱりしてしまうようだ。5は塩が多いと塩辛くて食べられず、また少ないと腐敗臭がして食べられない。少量の塩は数値には表わせず、長年の経験から調整するようだ。
※作り方や味は各家庭や作り手によって異なる