この6月、食中毒対策として、改正食品衛生法が施行(2018年6月に公布)されました(猶予期間は2024年5月末まで)。
改正食品衛生法は、全国で浅漬け(きゅうりの一本漬けなど)の漬物の食中毒が相次ぎ、営業許可業種に漬物製造業が加えられたのです。そのため漬物を製造・販売するためには、保健所の営業許可が必要になりました。これまで農家などの一角で作られてきた秋田県の「いぶりがっこ」が存続の危機に直面しているというのです。
「いぶりがっこ」は、燻した(いぶり)漬物(がっこ)の意。世界でも類を見ない特殊な製法で、近年では発酵食品として人気が高まっています。
いぶりがっこのいぶり作業
横手市(秋田県)は「いぶりがっこ」の本場。さっそく横手市食農推進課に詳しい事情を聞いてみました。
「わたしたちは地域を代表する食文化を支えてきた、いぶりがっこ農家を守っていく方針です。県、保健所と連携して法改正周知のための説明会を開催するほか、改修に必要な費用の補助も検討しています」(横手市食農推進課)
改正法による許可条件としては、漬物専用の加工場を設けることと定められ、自宅の台所や物置など漬物以外の食品や道具がある場所では作れなくなるといいます。
「『いぶりがっこ』をつくっている農家はご高齢の方が多く、加工所にお金をかけても回収できないなどの問題があります。しかし、途絶えさせてはいけない日本の食の文化遺産として、今後、横手市が農家との橋渡し役として取り組んでいきます」(横手市食農推進課)
いま、発酵食品に対する気運の高まりや「いぶりがっこ」とチーズの組み合わせが評判になるなど「いぶりがっこ」をめぐる今後に注目が集まっています。