糠漬け=お母さんのイメージは過去のもの!?
最近若い女性の間で糠漬けを漬ける人が増えているって知っていますか。「糠漬けを漬ける女性なんて、おばあちゃん世代じゃあ……」と考えてしまったのなら、あなたの認識は古いかも。
確かに糠漬けといえば、“昭和のお母さん”のイメージ。「糠みそ臭い」という言葉が冴えない女性の形容詞に使われ、「手が臭くなる」などと敬遠されていた時代もありました。ところが、今の若い女性の間ではそんなイメージはなく、むしろ「糠漬け」は、ナチュラルで、健康志向のライフスタイルに合うものとして取り入れられているのです。
かぶと赤大根の糠漬け
都内在住のS・Aさんも“糠漬け女子”の一人
「糠漬けを漬け始めて約2年になります。最初はあまりおいしく漬けられないこともありましたが、仕事を通じて出会った“糠漬け名人”にコツを教わったりして、最近は失敗することも減り、自分でもびっくりするぐらいおいしい糠漬けができるようになりました。毎日混ぜるのも、習慣となればそこまで苦ではなくなりました」
S・Aさんに糠漬けに古くさいイメージはないそう。丁寧な暮らしをしていた、かつての日本の美しい習俗のひとつなのです。S・Aさんの友人にも糠漬けにはまっている人は増えているといいます。
「糠漬けは同じ野菜を漬けても、温度や野菜の大きさ、糠床内のどの場所で漬けたかなどの関係で漬かり具合が変化します。糠床の水分量をできるだけ一定になるよう調整したり、温度管理に気を付けたり……。出来上がりの味を確かめるときは、毎回ちょっと緊張します」
S.Aさんのゴーヤの糠漬け
美肌、疲労回復……、糠のすごい効果とは
糠漬けの魅力は味だけではありません。糠漬けには整腸作用や美肌効果、脂肪の代謝を良くする、疲労回復効果まで期待できるのです。
その秘密は、糠に含まれる大量の微生物。糠床では、乳酸菌をはじめ、酵母や酪酸菌など無数の菌類が繁殖しています。何と糠みそ小さじ1杯(2g程度)で約七億匹も含まれているのだとか。これらの微生物は、口から摂取された後一部は腸まで到達して、腸内の乳酸菌などいわゆる善玉菌を増やすのに役立ちます。腸内に善玉菌が増えると、整腸効果が望めます。さらに、腸の調子が整えば、肌の調子も整ってくるとか。
また、糠に含まれるビタミンB1が糠漬けに移るため、糠漬けはもとの野菜より豊富に。ビタミンB1は脂肪の代謝や疲労回復に欠かせない栄養素です。美しくなりたい女性には、嬉しいことばかりですね。
(参考:『賢者の非常食』〈小泉武夫、IDP出版〉、『食に知恵あり』〈小泉武夫、日経ビジネス文庫〉、「日本食品標準成分表2010」)