紫色が健康効果の秘密
日本料理に欠かせません。味に強い主張がないため使いやすく、イタリア料理やスペイン料理、さらには中華料理にと世界各国で食されています。
なすの栄養成分で注目すべきは、紫色の皮の部分。ナスニンというアントシアニン類の色素です。ナスニンは、強い抗酸化作用をもっていて、血液をキレイにしたり、ガンや動脈硬化、高血圧の予防に効果があるとされています。
なすにはカリウムも豊富です。カリウムには利尿作用があり、体内の余分なナトリウムを排出して高血圧を抑制するとされています。
家康も食べたなすのてんぷら
なすはインド原産ですが、正倉院文書に献上の記録があるほど、日本人には古くからなじんできた食材です。徳川家康がてんぷら好きだったのはよく知られた話ですが、なすのてんぷらも好んでいたようです。
初夢に見るとよいという「一富士二鷹三茄子」は、駿河の名物だとも、徳川家康が挙げた駿河で高いものだとも、さまざまな説がありますが、江戸時代になすの初物に高値がついたのは事実。そのため、堆肥の発酵熱や炭火を利用し、障子でかこった“温室”による促成栽培が行われていたほどです。
和食に洋食、中華にインド!
なすは、味に強い主張がなくどんな料理とも相性がいい食材。油との相性は抜群で、炒め物や揚げ物がおすすめです。ただ、油を吸収しやすいので、油分の摂りすぎには注意しましょう。
料理の際にアクを取るために水にさらしますが、実はあのエグみは抗酸化物質です。せっかくの成分を失わないよう、切ってすぐ使うのであれば、アク抜きしないでも大丈夫。
定番メニューの煮浸しでは、軽く素揚げしますが、ナスニンは100℃以上の熱では色が安定し、油でナスニンがだしに抜けにくくなるという効用もあるのです。
なすは、ヘタの切り口が新しく、果皮の色が濃くてツヤがあり、トゲが痛いぐらい鋭く尖っているものが新鮮です。
水分が蒸発しやすいので、ラップで包んで保存しましょう。5℃以下では、低温障害を起こすので、冷蔵庫では野菜室へ。
なすの栄養成分
[参考 『日本食品標準成分表2010』、『日本食材百科事典』(講談社編)、「地方特産食材図鑑」、『薬膳・漢方の食材帳』(薬日本堂監修、実業之日本社)]