「食べるかぜ薬」の野菜?!
「食べるかぜ薬」と呼ばれる野菜を知っていますか? 鍋の季節には欠かせない、独特の香りが人気の葉野菜・春菊です。
春菊は、「無尽草(むじんそう)」という別名があるように、1年中成長し収穫できる野菜です。しかし、冬から早春にかけては、葉がもっとも柔らかくおいしくなる時季。
「春菊は、体内でビタミンAに変わるβカロテンを多く含み、活性酸素の働きを抑制する抗酸化作用も強く、肌の老化防止にも効果があるとされています。ぜひ、毎日の食卓にどうぞ」(JA全農大阪・福山さん)
βカロテンの含有量は、何と緑黄色野菜の代表ともいえるほうれん草や小松菜以上! βカロテンは体内でビタミンAに変わり、抵抗力をつけて病気の回復に役立ったり、粘膜の働きを良くします。かぜのときに特に多く摂るべきビタミンCも豊富で、かぜによいとされるのもうなずけます。
ほかにも春菊にはビタミン類やカルシウム、高血圧予防によいとされるカリウムなどが豊富です。また独特の香りのもとであるリモネンという成分は、胃の調子を整えたり、食欲増進、リラックス効果があるとされています。
春菊の栄養成分
関東と関西の春菊に違いあり
春菊は、関西では「菊菜(きくな)」と呼ばれることが多いのですが、実は関東とでは違いがあるって知っていましたか?
春菊の生産量全国第1位の千葉で育てられているのは、伸びた茎から枝が張っていく「株立ち中葉種」。香りが高いのが特徴です。
一方の第2位の大阪で収穫されるのは、茎があまり伸びず根本から枝が横に張る「株張り中葉種」。
「エグみが少ないのが特徴で、新鮮なものはサラダでもおいしいですよ」(JA大阪中央会・池嶋さん)
春菊の栄養をムダにしない方法とは
春菊は鍋以外では食べないという人もいますが、もったいない! お浸しや白和え、ごま和え、天ぷら、みそ汁の具などで、たっぷりおいしくいただきましょう。加熱し過ぎると風味や食感が損なわれてしまうので、さっと火を通す程度にするのが、料理のコツです。
春菊は傷みやすく、また鮮度が落ちるとエグミが出てきてしまいます。購入するときには、葉にハリがあり緑色がみずみずしい、新鮮なものを選びましょう。家庭ではなるべく早めに食べきり、どうしても余る場合は一度湯がいて水気をしっかりとり、冷凍保存するのがオススメです。
春菊の栄養タップリレシピ
春菊とねぎの牛肉サラダ
【材料】
春菊 1把
牛肉(こま) 200g
白ねぎ 10cm位
しょうが(みじん切り) 大さじ2
A
白いりごま 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
砂糖 大さじ1
酒 大さじ1
B
しょうゆ 大さじ2
酢 大さじ1
ごま油 大さじ1
砂糖 大さじ1
【作り方】
①ねぎは5cmの長さの白髪ねぎにして水につける。芯はみじん切りにする。しょうがは、みじん切りにする。
②春菊の葉はつみ、冷水につけてパリッとさせる。
③牛肉に(A)とねぎ、しょうがのみじん切りを加えて混ぜる。
④ 分量外のごま油で牛肉を、水分がなくなるまで手早く炒める。
⑤ 野菜の水分をしっかり取り、炒めたお肉と和え、白ごまをふる。
⑥(B)の材料で和える。
レシピ:西川節子先生 協力:JA大阪中央会
【一口メモ】
春菊の原産地は、トルコやギリシャなどの地中海沿岸、南ヨーロッパ。日本には中国を経由して室町〜戦国時代に伝来したとされています。春に菊に似た花をつけることから「春菊」と呼ばれるようになりました
面白いことに、欧米では独特の香りのせいか食用にはならず鑑賞用。食用にするのは日本と中国、東南アジアなどの地域に限られています。